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労務コンプライアンスとは?会社の信用を守るために知っておきたいこと

2022-05-12 02:01:53 1594 view
労務コンプライアンスとは?会社の信用を守るために知っておきたいこと コンプライアンス(compliance)とは、「(規則や法則、要求などに対する)遵守、適合性」を表す英語です。企業におけるコンプライアンスとは、「法令・企業倫理を守ること」と言い換えられます。 その中でも労働関係法令を守り労務管理を行うことを、「労務コンプライアンス」と呼びます。労務管理は働きやすい職場環境を整えることで労働者のモチベーションを維持し、経営上の目標を達成するサポートを行うという目的があります。 企業に対する社会的な評価のまなざしが強まり、より高い透明性を求められるようになった昨今、コンプライアンスを守れていることは、もはや特別なことではありません。労務コンプライアンスを改めて意識し、労働者や求職者、また世間一般からの信用を守ることは必要不可欠です。 就業規則が労務コンプライアンスの基準 常時10人以上の従業員を雇用している企業は、「就業規則」を作成し、自社の基本的な労働条件を定める必要があります。また、就業規則を労働基準監督署に提出しなければなりません。 就業規則はどのような内容でも自由に定めて良いわけではなく、労働基準法をはじめとする労働関連法にもとづいて規則を決めることが求められます。労務管理は原則として就業規則を基準として行われるため、就業規則そのものが各種法令に反していると、自然と労務コンプライアンスも守れなくなってしまいます。 経営者が必ずしも労働関連法に精通しているとは限りません。そのため、「自社の利益のために法律に反した規則にしてしまおう」と考えたわけではなくても、コンプライアンスに反した就業規則を作成してしまう可能性があります。 そのような事態を避けるため、社会保険労務士や弁護士といった労働関連法に詳しい専門家に相談し、法律に則った就業規則を作成することが重要です。 労務コンプライアンス遵守意識を高め、リスクを未然に防ぐ 労務コンプライアンスがおざなりにされることは、企業に様々なリスクをもたらします。 長時間労働や残業代の未払い、各種ハラスメントなどが常態化し見逃され続けることが、労使間の信用関係喪失、また企業の評判低下につながることは近年になって認知されるようになってきました。 ただ単に企業の評判が落ちるだけにとどまらず、離職率が高まり業務が立ち行かなくなるリスクや、労働基準監督署の行政調査を受けて行政処分されるといったリスクも同時に高まるでしょう。 たとえ労務コンプライアンスにもとづいて定められた就業規則を定めている企業であっても、社員の労務コンプライアンス遵守意識が低ければ、実際の運用面でギャップが生まれる可能性はあります。 労務に携わる社員だけではなく、企業のトップから一般の従業員にいたるまで「規則は守るもの」という考えを浸透させ、労務コンプライアンス意識の高い組織にしていくことが必要です。 チェックリストで現場から労務コンプライアンス意識を高める 一口に「労務コンプライアンス意識を高める」といっても、ただスローガンとして言い続けるだけでは社内の文化を変えることは難しいでしょう。 労務コンプライアンスに関わる要素は経営層の判断にも大きく関わる部分であるため、現場だけが意識を高めても「結局何も変わらないじゃないか」と呆れられることにもなりかねません。「労務コンプライアンスを守ることは、企業の根本的な価値観である」と代表自らが実践する姿勢を積極的に見せていくなど、上層部から労務コンプライアンスに則った経営を意識していく必要があります。 労務コンプライアンスが守れているかどうかを見直す際には、社労士や弁護士といった専門家のチェックを受けることが確実な方法です。現場レベルで確認をする方法としては、簡潔なチェックリストを用いて一定期間ごとに評価を行う方法があります。 評価項目には、次のような内容が考えられます。 項目 内容 労働条件 採用時、また労働条件変更時に条件を記載した書面を労働者に交付しているか。 (常時10人以上の従業員を雇用している場合)就業規則を作成し、労働基準監督署に提出しているか。 採用時、および定期的な健康診断を実施しているか。 一定要件に該当する労働者を雇用保険に加入させているか。 常時雇用する労働者を社会保険(厚生年金・健康保険)に加入させているか。 労働時間・有給 時間外労働・休日労働の労使協定を締結した上で、時間外労働をさせているか。 法定年次有給休暇を与えているか。 有給休暇を取得した労働者に対して、不利益な取り扱いをしていないか。 毎週最低でも1日の休日を与えているか。 賃金 都道府県によって異なる最低賃金以上の金額を支払っているか。 時間外労働・休日労働を行った労働者に、法定割増賃金(時間外:+25%以上 休日:+35%以上 月60時間を超える場合は+50%以上)を支払っているか。 22時~翌5時の間に労働(深夜労働)を行った場合、法定割増賃金(+25%以上)を支払っているか。 業務上の罰則による減給は法定の範囲(1回の罰則で平均賃金の1日分の半額まで。複数に渡っても1回の賃金支払期につき賃金の10分の1まで)で行っているか。 育児・介護など 婚姻・妊娠・出産・産前産後休暇を取得したことを理由に、不利益な取り扱いをしていないか。 労働者の請求に応じて、産前休暇を与えているか。 産後8週間が経っていない労働者を働かせていないか。※産後6週間を経過し、かつ医師が認める場合は就業させてもよい。 出産・育児・介護に関する制度利用の申し出があった場合、また制度を利用した場合に、不利益な扱いをしていないか。 高年齢者の雇用確保 定年は60歳以上か。※定年を定めている場合に限る。 65歳までの高年齢者雇用確保制度(1.定年引き上げ 2.継続雇用制度の導入 3.定年の廃止 のいずれか)が整備されているか。 解雇・雇い止め・無期転換 解雇予告をしたうえで解雇をしているか。※解雇予告は30日以上前に行う必要がある。予告をしない場合、30日分以上の平均賃金を支払う。 客観的に合理的で、社会通念上相当であると認められる解雇事由が就業規則に定められているか。 一定の条件に適う労働者の雇い止めを行う場合、最低でも契約満了日の30日以上前に予告をしているか。※一定の条件=3回以上契約を更新している。または雇用後1年以上継続勤務している。 一定の条件に適う労働者について、無期雇用契約転換の申し出に対応しているか。※一定の条件=雇用契約を5年以上更新しており、労働者から申し出があった場合。 労務コンプライアンスは企業と労働者を守る 労務コンプライアンスの内容は、主に「労働者が働きやすい環境を整えること」に重きが置かれています。そのため使用者からすると、少々不自由に感じる部分もあるかもしれません。特にこれまで慣習的に行われてきたことが、急に「コンプライアンス上不適切」と言われても、すぐに対応することが難しい可能性もあります。 とはいえ労務コンプライアンスが求めているのは、あくまで「法律に定められた最低限の条件」です。「こうでなければ仕事が回らないから」「法律に従うと経営が立ち行かないから」といった言い訳をしても、違法な行為であることに違いはありません。 違法行為を見逃したまま経営を続け、「最低限の条件すら満たせない企業」と見られることは、長い目で見れば結局自社に悪影響を及ぼします。 特に現代では、退職した労働者がSNSや転職口コミサイトなどを通じて、企業の内実を良かれ悪しかれ発信できてしまいます。悪い評判が流布されるのを防ぎ、周囲に良いイメージを持ってもらうためにも、労務コンプライアンスを遵守する文化を根付かせることが必要です。

アルバイト募集中の企業がすべき「興味をもたれる求人方法」とは?

2022-05-12 01:41:08 1469 view
アルバイト募集中の企業がすべき「興味をもたれる求人方法」とは? 企業や店舗などで働く人手が不足している場合、業種に合った能力を持つアルバイトを雇うことで解決しようとするケースは少なくないでしょう。アルバイトを雇い入れたいときには、求人サイトやチラシ、ハローワークといった何らかの求人媒体を利用することが一般的です。 ただ求人情報を公開すれば人が集まるというわけではなく、アルバイトに任せたい仕事の内容が伝わり、かつ「応募してみようかな」とやる気にさせる情報を打ち出す必要があります。多くの応募を集めやすい求人方法と、主な求人媒体について解説します。 応募を集めやすい求人情報 アルバイトを雇いたいからといってやみくもに求人サイトなどに情報を掲載しても、求めている人材が集まるとは限りません。場合によっては満足に応募数が集まらず乏しい選択肢の中から選ばなければならなかったり、そもそも雇うことができなかったりする可能性もあります。 また求人媒体は掲載費がかかる場合が多いので、うまく欲しい人材とマッチできなければ無駄なコストが発生してしまうことも考えられるでしょう。 必要以上に手間をかけず、効率よくアルバイトを雇用するためには求人情報の提示方法を工夫する必要があります。 「どんな人に働いてほしいか」を明確にする 求人媒体を利用してアルバイトの募集を始める前に、まずは「自社で働いてほしいのはこんな人」という人物像をハッキリと定めることが必要です。 最終的にどういう属性や能力を持っている人を採用したいのかが決まっていなければ、「どの媒体に掲載するか」「どういう書き方でアピールするか」「入社後どういう仕事を任せるか」といった人材募集に必要な要素も定まりません。 「テレアポ採用なのでハキハキ明るく喋れる人を集めたい」「DTPデザインができる人なら、最低限コミュニケーションが取れればいい」「とにかくPCでの入力作業が早い人に入社してほしい」など、求める人材のビジョンを明らかにすることで、自然と採用時の基準づくりにもなるでしょう。 仕事内容や待遇を具体的に記載する 求人媒体にはアルバイト求人に応募する人が気になる情報を、曖昧にせず具体的に記載しましょう。「どんな仕事内容なのか」「給料はどれくらいなのか」「福利厚生はどうか」といった点は、特に求職者が興味を持つ部分です。それぞれ正確な情報を提供することで、求める人材とのミスマッチも起きにくくなるでしょう。 欲しい人材が集まる求人媒体を選ぶ 求める人材の属性によって、利用すべき求人媒体も変わってきます。「とりあえず大手求人サイトに掲載しておこう」「ハローワークを利用すればいいか」といった考えでは、欲しい人材を得る機会を逃してしまうかもしれません。 求人媒体によって集まりやすい業種・職種や年代、性別はある程度特色があります。特殊な業界であれば、業界特化型の求人媒体を利用するのもよいでしょう。 いずれにしても、自社のニーズに合った媒体を選ぶことが重要です。 代表的なアルバイト求人方法12種を紹介 現在、アルバイトを募集できる求人媒体は多く、人手が欲しい企業にとっても仕事が欲しい求職者にとっても情報を得やすい時代です。媒体の特徴や集まる人材の志向、採用までにかかる費用などの要素を比較し、自社の条件に合う媒体を利用するとよいでしょう。 ハローワーク 掲載費用 ・無料 人材の傾向 ・新卒~高齢者まで幅広い年齢層が利用 ・未経験者、専門スキルの無い人、非クリエイティブ職も多い 活用法 ・求人票の項目を具体的に書く ・職業紹介部門の職員からアドバイスを受ける メリット ・ネット、リアル双方に求人情報を掲載できる ・ハローワークから人材の直接紹介を受けられる ・掲載内容を変更して集まりやすさなどをテストできる その他の特徴 ・新卒、障害者、母子家庭、フリーターの雇用支援なども行っている ・全国の自治体に544箇所設置 ・新規求職者数(常用(パートタイム含む))は約460万人(令和元年度)※参照:厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の 主な取組と実績」p.5 チラシ・店舗掲示物 掲載費用 ・無料(印刷費のみ) 人材の傾向 ・配布先の地域の人 ・店舗ユーザー、ファン 活用法 ・店頭で配布、店舗に張り出すなど、店舗と直接つながる形で人目に触れさせる ・店舗スタッフが自作することで、求職者に親しみをもってもらう ・完全現場主導ではなく、本社と連携して記載内容を正確にする メリット ・店舗を中心に配布することになるので、近隣の通いやすい人が採用できる可能性が高い その他の特徴 ・現場で制作する場合、その他業務との兼ね合いで完成が遅れがち 求人サイト・アルバイト情報誌 掲載費用 ・有料(5000円程度~10万円オーバー/週と、媒体によって異なる) 人材の傾向 ・大手の『タウンワーク』を参考にするとWEBサイトは10代~20代までの若年層が比較的多い ・紙メディアは10代~50代までまんべんなく利用(同タウンワーク参考) ・媒体ごとに若干特色あり※参照:タウンワーク(関東エリア)メディアガイド(リクルート「商品紹介パンフレット」内) 活用法 ・各媒体の担当者と話しながら特徴を掴み、適切な訴求をする ・人気が高い求人には大量に応募が来るので、効率の良い選定方法を考える メリット ・利用者数が非常に多い(大手のタウンワークはWEB版の月間UU数は約1700万人※2021年6月時点) ※参照:Similarweb “Townwork.net” その他の特徴 ・かつて主流だった紙媒体が、WEBサイトメインに変わってきている ・期間単位の掲載費が発生するので、成果が上がらなくてもコストだけかかる場合がある 自社WEBサイト・SNS 掲載費用 ・無料(サイト制作を外注する場合は制作費がかかる) 人材の傾向 ・自社サイトやSNSを見ており、ブランドや業態への理解が高い人 活用法 ・自社サイトに「採用ページ」を作り、求人情報をまとめる ・問い合わせフォームや応募フォームを作り、サイト内で応募まで完結させる ・SNSで求人に興味がありそうな層とコミュニケーションをとり、継続的な情報提供を行う メリット ・運用次第では費用対効果の高い採用活動が可能 ・オリジナルのデザインで採用ページを作れる その他の特徴 ・サイトやSNSの運用次第で大きく成果が変動する ・自社でサイト制作ができない場合、ページの用意や情報の更新に時間的、金銭的コストがかかる 求人検索エンジン 掲載費用 ・無料プラン、有料プラン両方あり 人材の傾向 ・若年層から高齢者まで幅広く利用 ・未経験から専門スキル所有者まで、多くのターゲットにリーチできる 活用法 ・Indeedなどの媒体が推奨する情報掲載の仕様に合わせることで、無料プランでも検索結果に表示されやすくなる ・有料プランを使うことで、検索結果で上位表示されるようになる ・ターゲティング設定を正確に行い、掲載内容にマッチするユーザーだけに情報を配信する メリット ・利用者数が多い(大手のIndeedの月間UU数は2.5億人) ・条件が揃っていれば、求人サイトや自社採用ページに掲載している内容を自動でクローリングし掲載してくれる ・特定のユーザーにのみ情報を表示させるターゲティングが可能※参照:Indeed公式サイト その他の特徴 ・有料掲載枠が検索結果の最上部に来るため、無料掲載のみだと成果が出にくい可能性もある 教育機関(大学・専門学校など)からの斡旋 掲載費用 ・無料 人材の傾向 ・基本的に学生(10代後半~20代前半) ・学業と両立する必要があるためシフトに制限があることが多い 活用法 ・大学や専門学校などに求人票を提出し、学校の掲示板や求人情報サイトなどに掲示してもらう メリット ・どの教育機関に求人票を出すかによって、採用できる学生の志向や能力などがある程度絞り込める その他の特徴 ・求人情報の掲載方法は教育機関ごとに異なるので、各教育機関の公式WEBサイトなどから確認する必要がある その他の方法 アルバイトを募集するには、ここまでに紹介した方法の他にも、関係者からの紹介してもらったり、採用代行サービスを利用したり、人材派遣サービスを利用したりといった求人方法が考えられます。 社内外の関係者から紹介してもらう場合、実際に本人に会ってから採用するか否かを決めることが重要です。縁故のある人間からの紹介は無条件に受け入れてしまうこともあると思いますが、求めている能力を持っているかどうか事前に確認しておくことが求められます。「信頼できる人間からの紹介だから大丈夫だろう」と安心せずに、通常の採用と同じプロセスで見極めると確実でしょう。 また、採用代行サービス(RPO)は、自社の採用業務を外部に委託し代行してもらうものです。どの求人媒体に掲載するかという戦略を立てたり、面接などの選考プロセスを任せたり、希望に適した人材を紹介したりと採用に関する業務を幅広く外注することができます。採用代行サービスを利用することで自社のリソースを割かずに済むだけでなく、自社に不足している採用業務のノウハウを吸収することもできるでしょう。 人材派遣サービスは派遣契約の労働者を雇用するため厳密にはアルバイトとは異なりますが、「今すぐ条件に見合う能力を持った労働者が必要!」という場合には非常に役に立ちます。人材を派遣する企業との契約を結び一定の紹介料などを支払う必要がありますが、確実に人手不足を解消することが可能です。 自社の採用ニーズにあわせて媒体を選定する アルバイトを採用する場合も、正社員などを採用する際と同じく自社のニーズにあわせた媒体を選ぶことが重要です。またひとつの媒体に絞らず、欲しい人材が集まりそうな媒体を複数併用することも選択肢に含めるとよいでしょう。 いずれの媒体でも、掲載している求人情報の定期的な見直しや効果測定を行うことで、より効率よく人材を確保できるようになっていくと考えられます。

Googleも取り入れている構造化面接とは?心理学に基づいた質問例も提案

2022-05-12 01:31:02 1415 view
Googleも取り入れている構造化面接とは?心理学に基づいた質問例も提案 採用  2021.08.17 「採用ミスマッチの防止」は、あらゆる企業の人事担当にとって最重要課題の1つです。自社に適した人材を見つけるためには、「面接」において必要な情報を的確に引き出すことが求められます。 面接の際、担当者間で重視するポイントが違ったり、応募者ごとにまったく異なる質問をしていたりすると、面接内容の比較が難しくなるでしょう。結果として採用基準にブレが生じてしまえば、必然的に選考の精度は低下してしまいます。 採用の精度を保つためには、面接担当者や応募者が誰であっても再現可能な方法を用意することが有効です。近年、再現性を高めることに重きを置いた面接方法として、あらかじめ定めたテンプレートに従って面接を進める「構造化面接」という手法が注目されています。 この記事では、構造化面接の概要や、導入時の流れを解説したうえで、実際の面接に応用できる質問例を紹介していきます。 構造化面接とは 構造化面接(structured interview)とは、「あらかじめ形を定められた面接」のことを指しています。具体的には、どの回答者にも「同じ質問」を「同じ順序で」行う面接方法です。 もともとは臨床心理学におけるデータ集積の手法として定着したものであり、研究調査の現場で被験者の回答内容を定量的に分析・検証する目的で利用されています。 現在ではGoogleをはじめ、採用の場に構造化面接を取り入れる企業も見られるようになり、ビジネスにおける有効性が知られるようになりました。 もちろん、ただ「決まった質問をする」だけでは十分に効果を得ることはできません。採用要件に照らした適切な質問内容の選定や、回答に対する体系化された評価指標など、システムを整えることではじめて構造化面接の利点を引き出すことができるのです。 たとえばGoogleの採用面接においては、「すべての応募者に同じ質問をして、同じ尺度で回答を採点し、事前に決められた一貫した採用要件に基づいて採用を決定」するシステムが運用されています。 (参照・引用:Google re:Work「ガイド: 構造化面接を実施する」) つまり構造化面接の本質は、「面接のマニュアル化」というポイントにあるのではなく、「明確な基準に基づく採用過程の体系化」という点にあるといえるでしょう。要件に照らしながら、システマティックに質問内容や評価基準を設定していくことで、選考プロセスを合理化・効率化することがこの手法の本旨です。 構造化面接を導入している企業のうちには、面接を全面的に構造化している企業だけではなく、部分的に「非構造化面接」や「半構造化面接」の手法を取り入れる企業も存在します。以下では、この2つの面接方法についても簡単に紹介していきます。 非構造化面接とは 非構造化面接は、構造化面接と同様、もともとは臨床心理学分野で使われていた用語です。カウンセリングなど、回答者から自由な反応を引き出す目的で用いられ、話の軸を固定しないオープンな質問を特徴としています。 たとえば「○○についてどう思いますか?」など、大きなテーマだけを設定し、回答に応じて面接の流れを展開させていく形が一般的です。積極的な相づちや、相手の話を繰り返すことによって話しやすい空気を作りながら、掘り下げたいポイントについて質問を深めていきます。 質問者が回答者のことを理解することはもちろん、回答者が受け答えを通じて自身への「気づき」を得る、ということが趣旨とされていることも多いです。そのため実際に導入する際には、「明確な内容を聞き出す」というよりも、「着地点を決めずに、共感ベースで話を進めていく」という前提のもと、展開を組み立てることになるでしょう。 採用面接の手法としては、柔軟な展開により応募者の個性を引き出しやすいメリットがある一方で、流れが面接担当者の経験に依存しやすく、応募者との相性によって引き出せる内容が異なるといったリスクも存在します。 半構造化面接とは 「半構造化面接」とは、あらかじめ質問を用意しつつ、話の流れに応じて質問の内容や順序、ニュアンスを変化させていく面接方法です。 面接に一定の枠組みを持たせることで、その趣旨を見失わないようにしつつ、個々の回答者に合わせて質問を掘り下げていけるメリットがあります。 いくつか必須の質問を用意しつつ、流れに合わせて追加の質問を行うなど、多くの採用面接で取り入れられている手法です。 構造化面接のメリット 質問内容をマニュアル化することのメリットとして、まず思いつくのは「面接官の負担が減る」「時間を短縮できる」といったリソース面のポイントかもしれません。しかし、構造化面接はこうした外形的なメリットに留まらず、採用過程そのものを効率化・合理化できる可能性を秘めた手法です。 以下では、構造化面接によって期待できるメリットについて、具体的に解説します。 話の流れに左右されない あらかじめ質問の内容・順番を固定しておくことで、話の内容や流れに左右されることなく面接を進められるようになります。そのため、「聞きたいことが聞けなかった」という失敗のリスクを抑えられるでしょう。 構造化されていない面接の場合には、面接官の経験や回答者との相性に依存する面が多くなりますが、構造化面接においてはこれらの「ブレ」を最小限に留められるため、客観的データを引き出しやすいと考えられます。 しかし面接をマニュアル化することで、その質を一定以上に保つことができる一方で、マニュアル外の内容を聞き出したり、評価したりすることには向いていません。そのため「話の流れに合わせて聞きたいポイントを掘り下げる」という展開は難しいでしょう。 比較検証が容易 質問の内容や順序を均一にすることは、複数の応募者を客観的に比較するうえでも有効です。面接が行われた時期や場所にかかわらず、同様のフレームワークで比較検証が可能なため、評価の客観性も担保しやすくなります。 さらに、過去のデータからフィードバックを得やすいことも、構造化面接の特徴です。面接時の回答内容と、入社後のパフォーマンスの相関性などを追跡調査することで、その後の採用効率を高められるでしょう。 そのため、採用方針が確定しており、長期にわたって多くの応募者を評価する必要があるケースにおいて、構造化面接はとりわけ効果的に働くと考えられます。 応募者の「納得感」が高い 構造化面接は企業側のメリットはもちろん、応募者側にとってのメリットにもつながります。 たとえば、Googleが自社の採用面接を受けた応募者からのフィードバックを分析したところ、「構造化面接を受けて不採用になった応募者の満足度」は、構造化面接を受けずに不採用になった場合よりも「35%」も高い数値をマークしたとされています。 (参照:Google re:Work「ガイド: 構造化面接を実施する」) 面接を受けた応募者に見られる満足度の高さは、構造化面接が「受ける側」にとっても公平かつ客観的に思えることを示しています。このような「納得感」は、応募者側のメリットに留まるものではありません。面接を進めていくなかで、「公平に対応してくれている」という印象が得られれば、それだけ積極的な回答も引き出しやすくなるはずです。 採用制度に対する応募者の信頼感は、「話しやすさ」につながり、ひいては豊富な判断材料を提供してもらうことにもつながるでしょう。