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カジュアル面談とは?実施するメリットや基本的な流れについて解説

2022-05-12 01:28:06 2989 view
カジュアル面談とは?実施するメリットや基本的な流れについて解説 採用 経営者や人事担当者の頭を悩ませる課題の一つに、内定辞退や早期退職があります。これを防ぐためには、事前に企業と求職者の間で相互理解を深めておくことが大切です。 そこで今回は、近年導入する企業が増加している「カジュアル面談」について解説していきます。企業側に主導権がある採用面接とは異なり、双方向でコミュニケーションが取れるカジュアル面談は、お互いの理解を深める手段として効果的です。実際に導入することでどのようなメリットが得られるのか、ここで確認していきましょう。 また、後半では、カジュアル面談の基本的な流れやポイントについても解説していきます。導入を検討している方はもちろん、導入したけれど成果が出ていないと感じている方も、ぜひ参考にしてみてください。 カジュアル面談とは カジュアル面談とは、選考の前段階で実施される合否を伴わない面談です。合否判定を目的とした採用面接とは異なり、求職者と企業の相互理解を深めることが主な目的となります。 カジュアル面談と面接の違い カジュアル面談と面接の大きな違いは「合否判定の有無」です。 面接は選考の場であり、最終的に採用の合否を判定します。応募者のスキルや適性をチェックすることを目的としているため、基本的に企業主導で進めることになるでしょう。 一方、カジュアル面談は「親交を深めるための情報交換」を目的としており、合否を判断するものではありません。企業と求職者がお互いを理解し合う場となっているため、フラットな立場で意見交換ができます。採用面接と違って、企業が求職者に対してアピールする機会が多いのも特徴的です。 また、服装や持ち物にも違いがあります。面接はスーツでの参加が基本ですが、カジュアル面談はラフな格好での参加を推奨しているケースが多いです。また、求職者を判断する場ではないため、履歴書や職務履歴書を用意してもらう必要もありません。 カジュアル面談を実施する2つのメリット カジュアル面談を実施するメリットとして、以下の2点が挙げられます。 カジュアル面談を実施するメリット ①選考辞退や採用ミスマッチを防げる ②多くの人材と接点を持てる 詳しく見ていきましょう。 ①選考辞退や採用ミスマッチを防げる 1つ目のメリットは、選考辞退や採用ミスマッチの発生リスクを軽減できることです。 一般的な採用活動は初対面の状態で面接に臨むため、お互いの理解を深めるところから始めなければなりません。企業側は質疑応答で理解を深められますが、求職者側は転職サイトや企業ホームページから得られる情報がメイン。面接中に認識のズレを埋められれば問題ありませんが、求職者が合否のかかる場面で知りたい情報を全て聞き出すことは容易ではないでしょう。 仮に、お互いの認識にズレが招じたまま選考が進んでしまうと、応募当初とのイメージにギャップが生まれてしまい、選考辞退や早期退職のリスクが高くなってしまいます。 その点、カジュアル面談は合否に影響しないため、リラックスした雰囲気で対話できます。お互いが本音に近い状態で話し合えるため、その後の選考辞退や採用ミスマッチのリスクを軽減できるでしょう。 ②多くの人材と接点を持てる 2つ目のメリットは、多くの人材と直接コミュニケーションが取れる点です。 本選考は転職意欲の高い求職者からの応募が大半ですが、カジュアル面談は本選考よりもハードルが低いため、応募が集まりやすくなります。優秀な人材が眠っている転職顕在層と出会えるチャンスも増えるため、今後の人脈を構築する目的で実施するのもおすすめです。 カジュアル面談の流れ ここからは、カジュアル面談の基本的な流れを解説していきます。もちろん、これが正解というわけではないので、進行方法に悩んでいる方は、以下の順序を参考に自社に合ったやり方を探してみてください。 カジュアル面談の基本的な流れ Step1.自己紹介 Step2.ヒアリング Step3.企業説明 Step4.質問タイム Step5.選考の案内 では、1つずつ解説していきます。 Step1.自己紹介 まずは、お互いの自己紹介から始めましょう。 面接のような張り詰めた空気の中では自然体で臨めないため、最初に求職者の緊張を和らげることが重要です。名前や部署名だけでなく、雑談も交えながら会話を広げていき、発言しやすい雰囲気をつくっていきましょう。 また、ここで「選考に関係のない面談」であることを再確認することも忘れてはいけません。求職者の中には、カジュアル面談に対して疑念や不安を抱いている方もいます。「本当は選考の一部なのでは?」と警戒されてしまうと相手が気軽に意見できなくなってしまうため、求職者の不安を払拭するような一言を添えてから本題に入るようにしましょう。 Step2.ヒアリング 自己紹介が終わったら、簡単なヒアリングに移りましょう。 カジュアル面談を有意義な時間にするためには、求職者のニーズを的確に把握することも大切です。「カジュアル面談に参加した理由」や「転職活動を始めたきっかけ」、「興味・関心のある業界」、「自社に対するイメージ」といったような質問から相手の状況や価値観を確認し、伝えるべき情報を整理していきましょう。 Step3.企業説明 ひと通り聞き終えたら、ヒアリング内容をもとに企業説明をしていきます。 マニュアル通りに説明するのではなく、相手の志望度を高められるような流れで話を展開できるとベストです。事業内容、業務内容、待遇、福利厚生のうちどの情報が最も効果的なのか、相手の反応を見ながら話題を組み立てていきましょう。 また、説明が一方通行にならないような工夫も必要です。定期的に質問タイムを挟むなど、相互コミュニケーションが取りやすい状況を作っておくとよいでしょう。 Step4.質問タイム 企業説明後に、質問の時間を設けましょう。 人によっては質問を遠慮してしまう可能性もあるため、求職者が聞きづらい事柄(労働環境や職場の雰囲気など)については、企業側から発信してもよいかもしれません。 また、このタイミングでオフィス内を案内するのもおすすめです。職場の雰囲気を実際に確認する機会を設けることで、印象に残りやすくなるでしょう。 Step5.選考の案内 最後は、選考の案内で締めくくりましょう。 面談から時間がたってしまうと応募意欲が薄れてしまうため、なるべく当日中に案内することを推奨します。ただし、その場で結論を迫ってしまうのはNGです。あくまで「案内」というスタンスは崩さないようにしましょう。 カジュアル面談を成功させる3つのコツ カジュアル面談のゴールは、「企業理解を深めた上で選考に応募してもらうこと」です。 そこで最後に、カジュアル面談を成功させるコツをお伝えします。 カジュアル面談を成功させるコツ ①選考のような雰囲気を出さない ②情報を提供する ③現場の社員にも参加してもらう それぞれ詳しく見ていきましょう。 ①選考のような雰囲気を出さない カジュアル面談で最も重視すべきポイントは「雰囲気づくり」です。 リラックスした雰囲気であれば本音に近い意見を引き出せますが、緊張感の漂う雰囲気では建前上の意見や回答しか得られません。特に「志望動機」や「自己PR」といった面接の定番質問をしてしまうと、相手に警戒心を抱かれてしまうため要注意です。 「面談」と言いながら「面接」の雰囲気を出してしまうと相手に悪印象を与えてしまう可能性も高いため、リラックスできるような雰囲気づくりを念頭に置いて面談を進めるようにしましょう。 ②情報を提供する カジュアル面談は、求職者と企業がお互いの理解を深めるために、情報を交換する場です。面接のように求職者の話を聞き出すだけでは双方にとってプラスにならないため、企業側からも自発的に情報を提供するようにしましょう。 また、企業理解をより深めてもらうために、あらかじめ資料を渡しておくのもおすすめです。 ③現場の社員にも参加してもらう 採用ミスマッチを防ぐためには、入社前に現場のリアルな意見を伝えることも大切です。入社後のギャップを生まないためにも、メリットとデメリットを両方共有しておきましょう。 可能であれば、現場で働く社員の口から伝えてもらうのがおすすめです。特に専門性の高い職種の場合は、経験者でないとわからない不安や悩みを抱えているケースが多いため、現場の社員に同席してもらうことで、よりリアルな情報を提供できるでしょう。 まとめ 今回は、カジュアル面談の導入メリットや基本的な進め方、成功させるコツについて解説してきました。 面接よりもフランクな雰囲気で対話できるカジュアル面談は、内定辞退や採用ミスマッチを防ぐための手段として効果的です。また、転職潜在層に対して直接アプローチできる絶好の機会にもなります。面談時には転職を考えていなくても、将来的に転職活動を再開した際に候補の1つとして検討してもらえるかもしれません。 求職者と良好な関係を構築するためにも、ぜひこの機会にカジュアル面談の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

人事業務における「コンピテンシー」とは?評価項目やモデル設定の方法を紹介

2022-05-12 01:25:29 2608 view
人事業務における「コンピテンシー」とは?評価項目やモデル設定の方法を紹介 人材採用や査定の場面をはじめ、人事においては「多様な人材をどのように評価するか」が重要になります。明確な基準にもとづく適正な評価は、従業員のパフォーマンスの指針となり、経営を長きにわたって安定させるための鍵になるでしょう。 しかし、評価基準を定めるにあたり、多面的な観点を整理することは簡単ではありません。スキルや経験、業績など、可視化されやすいポイントのほか、課題解決への取り組み方や、物事の捉え方など、客観的に評価することが難しい観点も多いです。評価が主観的になったり、基準に偏りがあったりすれば、自社にマッチしない人材に高い評価を与えることにもなりかねません。 総合的な観点から評価システムを設計するうえで、武器になるのが「コンピテンシー」という考え方です。高い業績を上げている人物の「行動特性」を評価基準に落とし込むことで、実情に合った指針を得やすくなるでしょう。 この記事では、コンピテンシーの概要をふまえ、活用できる場面や、評価における項目例を紹介していきます。 コンピテンシーとは コンピテンシー(competency)とは、英語で「資質」や「能力」といった意味を持つ言葉です。とくにビジネスシーンにおいては、「業務において高いパフォーマンスを発揮する人の行動特性」を指す言葉として用いられます。 高い業績を残すなど、会社にとって望ましい働きを見せている従業員をモデルにすることで、「実際にどのような要素がパフォーマンスにつながるのか」が見定めやすくなります。多くの場合、現実に表れている結果をもとに指標を作るため、現場の実情と乖離が生じにくい点がメリットです。 実際に、「指標としてどのような項目を盛り込むか」は会社の状況やモデルになる従業員の特性によって異なります。スキルや能力のほか、価値観や思考様式、動機づけの方法など、可視化されにくいポイントも含んだ総合指標として、採用や人事評価、人材開発といった場面で有効に活用できるでしょう。 コンピテンシーのモデル設定 一般的に、客観的なコンピテンシーの指標を作るには、自社にとって望ましい働きをする従業員をモデルに、その特性を多角的な観点から分析することが必要になります。 もちろん、現に在籍している従業員だけでは指標作成の材料として十分ではないケースもあるでしょう。そのような場合には、現実の人物をモデルとする方法だけではなく、自社業務において求められる要素を分析し、仮想的なモデルを設計する方法が用いられることもあります。実際の状況に応じたモデル設定が、コンピテンシーの指標を作る際のポイントです。 実在モデル もっともスタンダードな方法は、自社で高いパフォーマンスを上げている人物をモデルに、コンピテンシーを設計するやり方です。 実際に業績を出している従業員を分析するため、設計した指標が机上の空論に陥りにくい点がメリットです。一方で、現実の人物に指標が左右されるため、「現状では気づかれていない重要なポイント」を見落とす可能性もあるでしょう。 また、人物の特性を指標に落とし込むプロセスは決して簡単ではありません。「その人の何がパフォーマンスにつながっているか」を正確に見通し、「どうすればその要素を適切に評価できるか」について抜け目なく検討していくことが要求されます。 多角的な観点を取り入れるうえで、複数の人物をモデルとすることも有効でしょう。業務や職務ごとになるべく細かく、求められる要素をピックアップすることが大切です。 理想モデル 実際の従業員だけで多角的な指標を作成できない場合には、実在しないモデルを用いて検討していく必要があります。業務内容から、求められる資質や能力、マインドセットなどを分析し、自社にとっての「理想的人材」をモデルとして構築していきましょう。 この方法のメリットは、現実の従業員の特性を事細かに分析する必要がないために、指標の設計がスムーズにいきやすい点です。一方で、実在の人物に則して設計されていないため、「ハードルを上げすぎて現実の状況と乖離してしまう」という事態に陥る可能性もあります。 指標としてうまく機能させるには、業務遂行に必要なポイントを絞り込みながら、基準としての精度を高めていく必要があります。項目に被りや漏れがないかをチェックしつつ、それぞれの項目の解像度を高めていきましょう。 ハイブリッドモデル ハイブリッドモデルは、実在モデルと理想モデルの両者を混在させた方法です。実在の人物をモデルとしながら、「その人には備わっていないけれども、業務上重要だと思われるポイント」を補っていく形で用いられます。 実在の人物だけを参照していると、やはり指標に偏りが生じる可能性もあります。一方、完全に仮想的なモデルをもとに作成した指標は、「実際の結果」が見通せません。両者の手薄なポイントを補いつつ、「多角的」かつ「現実的」な指標を作るうえで、ハイブリッドモデルを採用する意義は大きいでしょう。 コンピテンシーを活用できる場面 コンピテンシーによる評価は、人事のさまざまな場面で有効に活用することができます。以下では、実際に多くの企業がコンピテンシー評価を取り入れている場面を紹介します。 人事評価 人事評価にコンピテンシーの観点を取り入れるメリットは、従業員の「行動の過程」を評価の対象にしやすくなる点にあります。数字ばかりではなく、「仕事への取り組み方」といったポイントも客観的に評価できるため、従業員の納得感にもつながりやすいのです。 評価に対する従業員の不満が募りやすいポイントとしては、「基準の不明瞭さ」が挙げられます。とくに人事担当者のごく一部のみが評価を担っている場合、「好き嫌いで評価を変えているのでは」など、主観性に対する疑念が生じる可能性もあるでしょう。 一方で、業績ベースの能力評価も、従業員の意識を結果や数字に偏重させてしまうおそれがあります。視点が短期的になったり、職場の雰囲気がピリピリしたりと、安定した労働環境を作るうえでは好ましくない状況に陥るケースも珍しくありません。 「行動特性」に焦点を当てたコンピテンシー評価は、「行動が結果に結びつく過程」を評価対象にするために、現場の感覚とも乖離が少なく、「可視化されにくいが業務において本質的なポイント」も評価しやすいメリットがあります。 ただし、評価システムの設計が複雑になりやすく、また1人のモデルでは観点が偏りやすい点には注意が必要です。評価の公平性を担保するために、複数のモデルから総合的にコンピテンシーを分析し、多くの項目に落とし込むことが求められます。 人材採用 採用の場面においても、コンピテンシーによる評価を導入することで、自社で活躍しうる人材を見極めやすくなるでしょう。可視化されにくい「考え方」や「価値観」といったポイントも評価の対象にできるため、自社とのマッチングを総合的に判断することが可能です。 評価基準を入念に設計し、事前にしっかりと共有しておくことで、面接官が異なる場合にも評価のばらつきを抑えられるようになります。基準を設計する際には、業種や職種ごとにパフォーマンスの高い従業員を複数選定し、それぞれの分野で求められる要素を整理していくとよいでしょう。 「何を評価の対象とするか」はもちろんですが、「面接時の回答をどう評価するか」を明確にすることも重要です。用意した質問を事前にさまざまな従業員に答えてもらい、パフォーマンスの高い社員にはどのような特徴があるかなど、時間をかけて検証しておく必要があります。 人材開発 研修や訓練などの人材開発の場面でも、コンピテンシーの観点は有効です。現に自社にいる従業員のパフォーマンス向上を図る際、具体的なモデルがあることで、社員教育の方向性を明確にできるでしょう。 仮に、模範社員が自社に在籍していたとしても、漠然と「あの人のようになってほしい」と考えているだけでは、他の従業員の指針とすることはできません。模範社員の行動特性を分解し、客観的に整理した基準を提示することで、「課題解決にはこういう思考のステップを踏めばいい」といった指針を共有できるでしょう。 コンピテンシーの項目例 コンピテンシーの評価軸として、どのような項目を取り入れるかは企業によって異なります。自社の環境や、モデルとなる従業員の特性から、必要な項目を設定していく作業が必要です。 以下ではコンピテンシー評価において採用される項目の例として、ハーバード大学が公開している「Competency Dictionary」から、いくつかの項目を抜粋して紹介します。 なお、評価システムを設計する際には、それぞれの項目に対して「どの程度該当するか」を段階的に評価する形を取るのが一般的です。たとえば5段階評価の形で、具体的な到達基準をレベル別に設定する、といった方法が多く取り入れられています。 (以下参照:“Harvard University Competency Dictionary”) 課題解決に関する項目 目の前の課題に対してどのように取り組み、どのような解決のステップを導き出していくか、というポイントに関する項目です。 課題分析と課題解決 論理的な思考によって問題の原因を特定し、適切な現状分析を通じて具体的な解決策を導出する力です。複数の解決策を準備しつつ、組織にとって最良の方法を多角的に検討することが求められます。 戦略的思考 長期的な目標を達成するにあたり、関連性の高い問題を特定し、論理的な推察にもとづくプランを段階的に設定しながら、継続的に取り組むことができる力を指しています。課題解決までの見通しの立て方や、戦略の設計・評価の適切さ、実行に移す能力などが評価の対象になるでしょう。 イノベーション 課題解決にあたり、革新的な方法を取り入れていく態度を指す項目です。さまざまな情報源から着想を得て、通例とは異なる観点を柔軟に受け入れ、これまで実践されていない方法を試し、その効果を適切に評価するという一連のプロセスが求められます。 チームビルディングに関する項目 組織の一員として、他の従業員と協働しながら、共通の目標を達成していく際に求められる要素です。 コミュニケーション能力 他者が必要としている情報を適切に伝え、また他者の考えを正確に読み取る力を意味します。口頭やテキスト、プレゼンテーションなど媒体や場面に合わせた方法を通じ、自分の思考やアイディアを表現しつつ、他者の主張にも耳を傾け、望ましい方向へと議論を導いていく態度が求められます。 視点と価値観 組織の理念や方針を適切に理解し、それをメンバーと共有しながら、チームの意思決定や個々の行動の前提に置く態度です。組織の理念を日々の行動に落とし込む理解力や、チームの方針に沿って活躍しているメンバーを認める視野の広さが必要になるでしょう。 多様性の評価 チームのメンバーそれぞれの能力や考え方、着眼点などを認め、適切に評価する態度を意味します。自分とは異なる特性を持つ他者のことを受け入れ、相互のパフォーマンスを高めていける関係構築の力も、評価の対象になるでしょう。 マインドセットに関する項目 長期的なビジョンを持って働き、成長を続けていくうえで必要となる要素です。 継続的な学び 新しい知識やスキルを学べる場面に積極的に関わり、学んだ内容を現実に応用しようとする態度です。学びの必要性をその都度明確にしながら、質問やメモ、フィードバックなどを通じて学びを最大化する意識の高さも求められます。 優秀さの追求 自身や他者を評価する際に、高いパフォーマンスを基準にする態度を指しています。とくに「自分に対する要求の高さ」として表れることが多く、自分自身の内的なルールとして、業務の量や質などについて明確な基準を据える傾向があります。 意思決定 課題やチャンスを正確に捉え、異なる情報源からのデータを比較検討しながら、結論を導き出す力です。さまざまな可能性が予想されるなか、その時々における状況の変化を見極めつつ、望ましい結果につながる行動を適切に選ぶ力でもあります。 まとめ コンピテンシーによる評価は、実際に成果を出している従業員の行動特性をベースにしているため、現実との乖離が起きにくいことが特徴です。適切に評価システムを設計できれば、「自社にマッチした人材」を客観的な指標として表すことができ、評価に明確な軸が据えられるでしょう。 コンピテンシー評価は採用や人事評価、人材開発において強力なツールとなる半面、評価システムの設計に多くのリソースが必要になるケースも少なくありません。モデルとなる従業員の選定や、インタビューなどを通じた情報収集、パフォーマンスにつながる要素の特定、その要素を正確に評価するための制度構築というように、多くのプロセスが要求されます。さらに、設計段階で「観点の漏れ」があれば、評価軸として機能しなくなるおそれもあるでしょう。 設計には時間をかけて、なるべく多くの人物の観点を取り入れながら、重要なポイントを精査していくことが大切です。評価制度のアウトソーシングも選択肢ですが、その際にもしっかりと、「パフォーマンスを左右する要素」や「その要素をどう評価するか」を理解しておく必要があります。

就業規則とは?変更するときの届出の記入例や注意点について

2022-05-12 01:20:03 2382 view
就業規則とは?変更するときの届出の記入例や注意点について 職場環境  2021.11.02 労働条件や職場のルールを定める「就業規則」は、法令遵守の観点からはもちろん、職場の規律を整えたり、待遇の基準を明示したりと、労使双方にとって非常に重要な役割を担います。 「働くうえでのルール」は職場環境だけでなく、個人の働き方や生活のありようにも関わるため、就業規則の変更は慎重に行う必要があります。しかしもちろん、法改正や環境の変化などにともない、規則を変えなければならないケースもあるでしょう。 とくに近年では、働き方改革を通じた変化のなかで、「副業」や「テレワーク」など多様な勤務形態に対応する必要性も増しています。この記事では、就業規則の意義をふまえたうえで、規則を変更する際の届出や、手続き上の注意点について解説していきます。 就業規則とは 就業規則とは、賃金や労働時間をはじめとする労働条件や、事業所の服務を定めるルールのことです。労使間の契約に関わるルールにはさまざまなものがありますが、就業規則には「働くうえでの会社内の決まりごと」をもっとも具体的な形で定める役割があります。 就業規則がなければ、昇給や有給休暇の取得など多くの場面で「参照すべき根拠」がなくなってしまうでしょう。たとえば無断欠勤を長く続けている従業員を解雇する際にも、規則に照らした対応ができず、スムーズな対処が困難になると考えられます。 待遇の基準を明確にしたり、解雇事由を定めたりすることで、さまざまなケースにおいて書面の規定にもとづく措置を遂行できるようになるのです。 規則を取り決めるのは「使用者」であり、「常時10人以上の従業員を使用する使用者」には、「就業規則の作成」及び「労働基準監督署への届出」が義務づけられています。なお、従業員が10人未満の場合であっても、届出そのものは可能です。労使間トラブルを防止する観点から、法的義務を負わない場合にも、就業規則の作成及び届出が推奨されています。 就業規則は使用者が作成する「会社内のルール」ですが、労働関係の法令に反する内容を記載することはできません。労働基準法をはじめとする法令や、労使間の合意にもとづく「労使協定」あるいは「労働協約」に定められた内容の範囲内で、労働者を使用する際の取り決めを明示する必要があります。 就業規則に定めるべき事項 法律上、就業規則には「必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)」と、「規定を設ける場合には記載しなければいけない事項(相対的必要記載事項)」が定められています。労働基準法第89条は、就業規則に次の事項について定めるよう規定しています。 絶対的必要記載事項 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換(交代制の場合)に関する事項 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 退職に関する事項(解雇の事由を含む。) 相対的必要記載事項 退職手当の適用範囲、決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項 食費、作業用品その他の負担に関する事項 安全及び衛生に関する事項 職業訓練に関する事項 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項 表彰、制裁に関する事項 その他全労働者に適用される事項 就業規則の変更は可能? 就業規則の変更を行う場合には、その内容について、労働者を代表する者の意見を聴取し、労働基準局に変更の届出を行うことで、法律上必要な手続きを済ませることができます。 変更が生じるケースとしては、経営状況の変化にともなう賃金体系や勤務体系の変更、福利厚生の充実を図るための休業規定の変更、法改正への対応など、さまざまな場面が考えられるでしょう。 長期にわたって就業規則を変更していない場合などは、現在の状況に即して労働環境を整備するためにも、現状の規則を見直した方がよいケースがあるかもしれません。 「不利益変更」は原則不可だが例外もあり 就業規則は労働条件を直接左右するものですから、どのような変更でも認められるわけではありません。労働契約法の第9条においては、労働者の不利益になるような就業規則の変更が禁じられています。基本給の引き下げや、労働時間の延長、その他「みなし労働時間制」の導入など、労働条件の悪化につながりうる変更は原則として認められません。 ただし、次の第10条においては、不利益変更が容認されうる例外規定が設けられています。端的にいえば、「変更内容について労働者に事前に周知」することと、「変更内容が状況に照らして合理的であること」の2点を満たすことにより、例外として不利益変更が法的に許容されるのです。 つまり不利益変更を行う場合には、客観的に正当性のある理由にもとづき、労働者側の理解を得ながら進めていく必要がある、ということになります。たとえば「経営状況が○○%悪化し、今後○○年間は改善の見通しが立たないので、給与を○○%引き下げたい」という因果関係を明示し、従業員の納得を得るプロセスが要求されるでしょう。 就業規則を変更する際の手続きと届出 就業規則を変更する際には、労働基準法の第89条及び第90条に定められる方法により、労働基準監督署への届出を行う必要があります。 以下では具体的に、手続きのステップごとに要点を解説していきます。 変更点の検討と法制面の検証 就業規則を変更する目的に照らして、変更箇所と内容を検討していきます。その際、変更後の内容が法令に準じたものになっているか、また労使協定・労働協約に反していないかを確認しておきましょう。 社内への周知(不利益変更の場合) 賃金や労働時間、その他福利厚生などの労働条件において、労働者への不利益となる変更がある場合には、事前に周知しておく必要があります。手続きのためには「労働者全員の合意」は必要なく、後述の「過半数代表者」による意見書を提出することで、法律上の条件を満たすことができます。 しかし、不利益変更は後々のトラブルにもつながりやすく、周知や合意形成のプロセスに問題があった場合、訴訟に発展し不利益分の補償を命じられるケースもあります。労働者からの信頼や、業務におけるモチベーションにも影響が出るおそれがあるため、ただ周知するだけではなく、変更の必然性を真摯に説明し、理解を得られるよう努めておくとよいでしょう。 労働者の「過半数代表者」による「意見書」の作成 就業規則は労働条件を直接定めるものですから、変更する際には労働者側の理解を得ておく必要があります。意見を聴取した記録として、労働者代表の手で「意見書」を作成してもらい、労働基準監督署に提出しましょう。 事業場に労働者の過半数によって組織されている労働組合(過半数労働組合)がある場合には、その労働組合から変更内容についての意見を提出してもらう必要があります。 該当する労働組合がない場合には、まず労働者の過半数の意見を代表する「過半数代表者」を選出することになります。この際、代表者を使用者側から指名することはできません。管理監督者の立場にない労働者のうちから、挙手や話し合い、投票などの民主的な方法によって選出し、変更内容について意見を提出してもらいましょう。 過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見を書面にまとめ、日付と署名捺印を入れたうえで、「意見書」として以下の「就業規則変更届」とともに労働基準監督署に提出します。 なお、パートタイムに関する就業規則など、一部の労働者にのみ関係する変更であっても、事業所の全労働者のうち過半数を代表する者の意見を聴取する必要があります。 就業規則変更届の作成 変更内容が定まったら、労働基準監督署に提出する変更届を作成します。形式の指定はありませんが、変更箇所を対照できる形にしておくと、整理する際や社内に周知する際にもスムーズです。 厚生労働省のサイト上に、就業規則変更届のフォーマットが用意されているので、これを利用するのもよいでしょう。変更届に添付する「意見書」のフォーマットも付属しているため、併せて提出書類を揃えることができます。 就業規則変更届の記入例 前述のように、変更届には形式の指定がありませんので、変更前の文言と変更後の文言がわかる形であれば、問題なく受理されるでしょう。 ここでは厚生労働省の「モデル就業規則」に副業規定が導入されたケースを例にとり、変更前後の記入例を掲載します。 (参照・引用:厚生労働省「モデル就業規則について」) 副業禁止規定を撤廃する際の記入例 副業規定を新設する際の記入例 労働基準監督署への届出 作成した「就業規則変更届」と、過半数代表者による「意見書」を、管轄地域の労働基準監督署に提出します。提出は窓口のほか、郵送や「e-Gov」による電子申請も可能です。 就業規則を変更したにもかかわらず、届出を行わなかった場合には、労働基準法第120条の罰則規定により30万円以下の罰金が科せられます。明確な期限は定められていませんが、作成から「遅滞なく」届出を行うよう定められているため、早めの提出が望ましいでしょう。 変更決定後の社内周知 就業規則変更届が受領されたら、社内への周知を行いましょう。 労働基準法第106条においては、常時「見やすい場所へ掲示」したり、書面を交付したりするなどして、すべての従業員が確認できる方法で掲示や告知を行うよう定められています。全員が常時確認できる方法であれば、共有ファイルなどの電子的な方法でも問題ありません。 なお、変更内容が一部の従業員にしか関係しないものであっても、全員の目に触れるようにしておく必要がありますので注意しましょう。 就業規則を変更する際の注意点 就業規則の変更は、法律的な手続きであるとともに、労使間の関係性にも大きく関わる手続きです。届出に不備がないようにすることはもちろん、労働者側の理解や納得感も大切にしながらステップを進めていきましょう。 変更の届出は「事業所」ごとに行う 就業規則の適用範囲は「事業所」であるため、同じ会社であっても事業所ごとに労働基準監督署への届出を行う必要があります。「過半数代表者」の選出及び意見聴取も、事業所を単位として進めなくてはいけません。 すべての事業所でまったく同じ就業規則を用いており、変更内容も同じ場合には、本社からの一括申請も可能です。ただしその場合にも、「意見書」はそれぞれの事業所で作成する必要がありますので注意しましょう。 合意形成のプロセスを丁寧に 就業規則の変更は、労働条件を直接左右するため、従業員の生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。不利益変更がある場合にはもちろん、一概に不利益とならないような変更であっても、事前の周知と説明を徹底しておくことがトラブル防止につながります。 なるべく届出を行う前に、就業規則に変更を行う旨と、変更内容に加え、「なぜそれが必要なのか」を従業員に開示しておくとよいでしょう。 とくに不利益変更が含まれる場合には、合意形成のプロセスには慎重さが必要です。判例では、「従業員が不利益変更に異議を述べなかったこと」を「同意」とは認めない判断が下されたケース(協愛事件(大阪高判平22.3.18 労判1015-83))もあり、明確な形で「同意があった事実」を記録しておくことが望ましいといえます。 なお、同意の有無は「不利益の内容・程度、同意に至るまでの経緯・態様、同意を得る前に使用者が十分な情報提供と説明を行っているか」などによって多角的に判断すべきものとされています。たとえば労働者側が断れないような状況で、一方的な説明のみで同意書にサインさせる、といった方法は認められません。 法的に有効な合意形成のためには、「全体に周知して代表者の意見を聞く」だけでなく、可能な限り従業員への面談などを通じて事情を説明し、個々の意見を聴取しておくことが望ましいでしょう。その際、使用者側が説明した内容や、従業員側の意見を記録しながら、同意書に署名してもらうといった方法が考えられます。 (参照:労働政策研究・研修機構(JILPT)「(74)【労働条件の変更】就業規則による労働条件の変更」) まとめ 労働契約は労使間の合意にもとづいて成り立つものですから、契約内容を形にした「就業規則」は「双方が納得したルール」として運用される必要があります。 職場環境や待遇を改善したり、法令の改正に適合させたりと、就業規則の変更が必要になるケースはさまざまに考えられます。どのような場合でも、なるべく事前に従業員に変更の内容を伝え、理解を得ておくことがトラブル防止につながるでしょう。 とくに不利益をともなう変更の際には、合意形成を丁寧に進めていくことが大切です。前述のとおり労働契約法第10条によると、その変更が合理的なものであり、事前に労働者に周知されている場合には、使用者は労働者の同意がなくても就業規則を変更することができることになりますが、労使間の信頼関係を保つためにも従業員の心情面も汲み取りながら、変更の具体的内容や、それが必要である客観的な理由を開示し、納得のいく説明を心がけしましょう。