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従業員エンゲージメントとは?組織改善への効果や実践方法について解説

2022-05-20 04:33:44 2540 view
組織を形成していくうえで、従業員の「仕事への向き合い方」は大きなファクターです。彼らの意欲や態度により、業務の効率や発展性は少なからず左右されます。 しかしこうした主観的な要素は定量的な把握が難しく、「何をどうしたら従業員にやる気を出してもらえるか」と頭を悩ます経営者の方も多いでしょう。 従業員の仕事に対する取り組み方を総合的に捉えるうえで、有効な観点となるのが「従業員エンゲージメント(エンプロイエンゲージメント)」です。「企業と従業員が目線を合わせられているか」「従業員がどれくらい仕事に積極的か」ということをアンケート調査などでモニタリングすることで、組織の課題を見つけ、改善につなげていくことができます。 この記事では、従業員エンゲージメントの基本的な意味や、調査の方法について解説したうえで、企業の取り組み事例をもとにそれを高めるためのポイントをお伝えします。 従業員エンゲージメントとは エンゲージメント(Engagement)は多義的な言葉であり、「従事すること」「没頭すること」「約束すること」といった意味を持ちます。総じて「みずから何かに関わり、積極的に関係を維持しようとすること」というニュアンスを持つ言葉です。 すなわち「従業員エンゲージメント(Employee Engagement)」は、企業に対する従業員の「積極的関与の度合い」を表す言葉だといえるでしょう。 従業員エンゲージメントの重要性は1990年代からアメリカ合衆国を中心に注目されるようになり、企業の長期的な成長に対する好影響が指摘されてきました。その後、生産性や業績との相関性を示す研究結果なども広く知られるようになり、近年では日本においても従業員エンゲージメントを調査し、組織改善のための視点を得ようという企業が増えています。 従業員エンゲージメントを構成する要素 従業員エンゲージメントはさまざまな要素から成り立つ概念です。「満足度」や「愛社精神」など組織への信頼や愛着、「コミットメント」といった積極的な行動面なども、その観点となりえます。 「組織と足並みを揃え、仕事に主体的に取り組む」というあり方に照らしてみれば、エンゲージメントを構成する主な要素として「企業とのビジョンの共有」「自身の役割についての理解」「組織に対する信頼」といったものが挙げられるでしょう。会社と従業員が足並みを揃えるには、従業員が会社の方針や理念を理解し、それに照らした自身の役割について把握している必要があります。 しかしこれらの点について理解していても、実際に会社に貢献しようという思いがなければエンゲージメントは高まりません。業務内容や評価制度への納得感や、仕事のやりがい、承認されている感覚などにより、協調的なモチベーションが高められていきます。 そしてそれらを土台に、会社としての目標に対して的確なアプローチをしていけるような状態が、エンゲージメントの高さを形成しているといえるでしょう。 従業員エンゲージメントの高さがもたらすメリット 従業員エンゲージメントそのものは従業員の主観的感覚を表す指標ですが、こうしたものが現実の業務にプラスの影響を及ぼすことは想像に難くありません。 組織への信頼感や、職場環境への満足感は、従業員の定着率に大きく影響するでしょう。仕事に対して取り組む姿勢の変化や業務の質、生産性の向上にもつながると考えられます。 実際に、エンゲージメントの高さが企業の業績と相関関係にあることを示す研究も複数存在しています。「株式会社リンクアンドモチベーション」の研究機関である「モチベーションエンジニアリング研究所」は、「慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 ビジネス・スクール 岩本研究室」と共同で、従業員エンゲージメントと企業業績の関係性について研究調査を行いました。 会社への期待度や満足度の偏差を表す「エンゲージメントスコア」を指標とし、営業利益率や労働生産性との相関度を調べたところ、エンゲージメントスコアが1上がるにつき営業利益率は0.38%、労働生産性の指数(従業員に支払われる給与1円あたりの正常収益額)は0.035上昇するという結果が得られました。 (参照:株式会社リンクアンドモチベーション「『エンゲージメントと企業業績』に関する研究結果を公開」) エンゲージメントの高さは「職場の雰囲気」「従業員の態度」といった数値に表れない部分はもちろんですが、業績面においてもプラスの影響をもたらすと考えてよいでしょう。 従業員エンゲージメントを調査するための質問 従業員エンゲージメントを調査する際には、アンケート形式を採用するのが一般的で、全体としての傾向を定量的に把握するために、「とてもそう思う」「そう思う」「どちらともいえない」「そう思わない」「まったくそう思わない」というように、振れ幅を5段階程度で回答してもらう形がスタンダードです。 調査を実施するうえでは、その目的を明確に周知し、人事評価などにはまったく影響しないことを担保するなどして、率直な意見が反映されるよう配慮しましょう。 また、実施するペースにも注意が必要です。日報としてアンケートを設置し、日々の変化を細かくモニタリングすることも有効ですが、調査に対して倦怠感が生じてしまう可能性もあります。頻度と質問の量とのバランスを取り、変化を追跡できるように設計することが望ましいです。 アンケートの項目には決まった内容はありませんので、自社の方針などに合わせて自由に質問項目を用意しましょう。一例として、以下にスタンダードな質問を観点別に挙げていきます。 企業への満足度について 働くうえでの安心感や、待遇に対する満足度、組織に対する信頼感といった要素は、従業員エンゲージメントを知るうえで必須の質問でしょう。 近しい関係の人に自社で働くことを勧められるか 意見を聞いてくれる感覚があるか 「評価されている」と思える出来事が最近あったか など、従業員が会社やチームに対して満足しているかどうかをアンケートによって把握しておきたいところです。 組織の目標に対する共感と協調について エンゲージメントを把握するためには、「組織と従業員が同じ方向を向けているか」という観点からの質問も盛り込むとよいでしょう。 会社の理念や目標が、自分にとっても重要なものだと思えるか 組織において自身が求められているものを理解できているか 職場に見習いたいと思える人物がいるか など、会社の目標に対する理解度や共感の度合いを尋ねる項目が有効です。 個々のキャリアとの適合性について 従業員が自分自身のキャリアのなかで、会社をどう位置づけているのかも重要なポイントです。会社での仕事に対する意義付けが明確であるほど、従業員はやりがいを感じやすく、組織へのエンゲージメントも高くなる傾向にあります。 仕事を通して成長している実感があるか 仕事をするやりがいや意義が感じられるか 現在与えられている役割は、自分の得意分野を活かせるものか など、その会社で働いていることが、従業員にとって意義のあるものとなっているかどうかを確認するとよいでしょう。 従業員エンゲージメントが高い企業の事例 ここでは実際に、際立った取り組みによって組織のエンゲージメントを高めることに成功した企業の事例を紹介します。 企業文化の浸透に努める人事部門 ソーシャル経済メディア「NewsPicks」を運営する「株式会社ユーザベース」は、企業の成長にともない従業員が増加するなか、「企業文化」や「価値観」を浸透させることに力を入れてきました。 組織の指針として掲げられた「7つのルール」を、具体的に個々の従業員に根付かせていく役割を担っているのは同社の「カルチャーチーム」という部門です。 採用や給与システムの設計、研修や福利厚生など、カルチャーチームが扱う範囲は通常の「人事部門」と同様のものです。とはいえ、こうした待遇や人材育成に関する場面はとくに「企業と従業員の考え方が交錯する場」となりえます。 このような場において、人事体制を整えるだけではなく、「企業文化の定着」という面に力点を置いているのが「カルチャーチーム」です。実際に、従業員エンゲージメントをクラウド上でモニタリングするサービス「モチベーションクラウド」を導入し、表彰制度などの具体的な施策に活かしています。 (参照:UB Journal「代表が病気療養しても自走できる強さの源泉、ユーザベース『7つのルール』」) 社内コミュニケーションの活性化を促す制度 法人向けのクラウド型名刺管理サービスを提供する「Sansan株式会社」は、従業員間のコミュニケーション活性化を目的としたオフィス「Sansan ONE」を設置しました。オフィスには作業スペース以外にフリースペースが広く取られており、バーカウンターやボルダリングなど、従業員同士が楽しめる環境が整っています。 (参照:Sansan株式会社「ニュース」) その他、他部署の社員との飲み会費用を補助する「Know Me(ノウミー)」制度をはじめ、コミュニケーションを促す仕組みが充実しており、同社のコンセプトである「出会い」という視点が存分に活かされた体制が敷かれているといえるでしょう。在宅勤務や子どもの保育園料の補助など、福利厚生面でも充実したシステムが用意されており、会社への高い満足度が従業員のエンゲージメントを引き出す好例となっています。 定期的な目標の共有とフィードバック 画像処理ソフトや各種クラウドサービスを提供する「アドビ株式会社」は、従来のランク付けによる評価制度を撤廃し、「チェックイン制度」と呼ばれるフィードバックのシステムを構築しました。マネージャーと従業員が1対1で話す場を四半期に一度以上設定し、現状の再認や目標のすり合わせを行うというものです。 「期待(Expectations)」「フィードバック(Feedback)」「キャリア開発(Development)」という3つのパートから成り立ち、「期待」のパートは、会社の現状をふまえ、当の従業員に「何が期待されているのか」について共通認識をつくる段階です。そのうえで、「フィードバック」のパートにおいてマネージャーと従業員が双方に現状の課題を提示していきます。最後の「キャリア開発」においては従業員側が主体となり、期待されているものに対して、自身の持つビジョンや達成プランを提示する、という形です。 (参照:Wantedly「アドビ株式会社」) 従業員エンゲージメントを高めるポイント 目標設定のあり方や評価制度など、従業員エンゲージメントを高める際に重要となる観点について解説します。実際に改善策を講じるにあたっては、アンケートなどの調査結果をふまえ、問題の所在を明確にしておくことが大切です。 組織と従業員の共通目標を設定 従業員エンゲージメントを高めるうえで、前提となるのは「組織と個人が目的意識を共有している」ことです。その際、重要なのは組織としての大きな目標を、個々の具体的目標に落とし込んでいくことだと考えられます。 Googleなどに採用されている目標管理システム「OKR(Objectives and Key Results)」は、こうした目的意識を共有するうえで有効に機能するでしょう。目標(O:Objective)に対し、それぞれの達成条件としての主要指標(KR:Key Result)を設定し、進捗をトラッキングするという方法ですが、鍵になるのは「OKRの階層構造」をつくることです。 「会社としてのOKR」を設定し、それに照らして「チームとしてのOKR」、さらに「個人としてのOKR」など、それぞれの段階を連動させていくことで、会社と個人の目的地を具体的に示すことができます。 仕事に対する的確な評価やフィードバック 従業員エンゲージメントの高い企業の特徴として、「そこでの仕事を通じて自己肯定感が得られる」という点が挙げられます。とりわけ「自分の仕事が適正に評価されている」という感覚は、会社への信頼を大きく左右する要素です。 評価制度を見直す際、現状の制度のどこに不満が出ているのかを見定めることが重要です。 公平性や納得感を重視するうえでは360度評価など、多面的評価制度が有効でしょう。上司だけではなく、同僚や部下からの評価も査定に取り入れることで、主観にもとづく評価の偏りを減らすことが期待できます。 実力に対する適正な評価という面では、インセンティブ制度や表彰制度などの導入を検討するのもよいでしょう。 権限委譲 従業員エンゲージメントと深い相関関係にあるのが、仕事をするうえでの「やりがい」や「成長している感覚」です。こうした感覚を得るには、与えられる権限や裁量の大きさが重要なファクターとなります。 成長意欲のある従業員には積極的に重要な役割を任せていくことで、やりがいや成長感を引き出し、組織へのエンゲージメントを高めることが期待できます。 まとめ 「従業員エンゲージメント」は仕事に対する「意欲」や「態度」など、はっきりとは認識できない部分に光を当てるための観点です。それゆえに、生産性や業績といった部分と相関性があるのかどうか把握することが難しく、組織改善において後回しにしてしまうことも多いかもしれません。 しかし、安定した経営を続けていくための土台となるのは、やはり個々の従業員が抱いているモチベーションや、会社への信頼感だと考えられます。組織を見直すにあたり、このような見えない地盤の状態を確かめることは、もっとも根本的な問題への洞察につながりうるものです。 従業員エンゲージメントをめぐる調査結果は、組織改善に向けたヒントを与えてくれます。適切な調査によって従業員の意識を知り、進むべき方向性を探っていきたいところです。

内定と採用の違いとは?言葉の意味や通知を出す際の注意点について解説

2022-05-20 04:23:02 2468 view
採用活動の場面で使われる「内定」や「採用」という言葉。どちらも企業側からの雇用決定通知として認識されていますが、実は法律上の定義が違うことをご存じでしょうか。 似たような言葉ですが、この2つには法的拘束力の有無という決定的な違いがあります。採用トラブルを避けるためにも、人事担当者はしっかりと言葉の持つ意味を把握しておきましょう。 そこで今回は、「内定」と「採用」の違いについて解説していきます。応募者に通知を出す際の注意点についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 採用・内定・内々定の違いとは? まず結論からお伝えすると、採用と内定の違いは「企業と応募者の間で労働契約が成立しているか否か」という点にあります。 法律上、採用は労働契約に至る前の段階、内定は労働契約を締結した状態として扱われます。簡単に言うと、採用は最終選考通過連絡、内定は正式な雇用契約というイメージです。 具体的にどのような状態を示しているのか、「採用」や「内定」とともによく使われる言葉「内々定」とともに確認していきましょう。 採用とは? 採用とは、企業が一方的に応募者を雇用する意思表示をしている状態です。 簡単に言うと、応募者が最終選考を通過したこと、つまり「合格」したことを示している段階であり、正式に入社してもらうためには応募者に「入社する意志があるかどうか」を確認する必要があります。 内定とは? 一方、内定は企業と応募者が互いの合意のもとに労働契約を締結した状態を指します。 法律上、求人への応募は「労働契約への申し込み」、内定通知は「申し込みに対する承諾」として解釈され、内定者が入社承諾書や採用承諾書を提出した時点、もしくは、企業が内定通知を出した時点で「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれる契約が成立します。 内々定とは? ちなみに、内々定は企業が応募者に対して「将来的に内定を出しますよ」と約束している状態です。主に新卒採用で使われる言葉で、中途採用ではあまり使用されません。 なぜ、内定ではなく「内々定」という形式を取るかというと、政府が定める新卒採用ルール「就職・採用活動に関する要請」が関係しています。これによると、正式な内定日は「卒業・修了年度の10月1日以降」と決められており、それ以前に学生へ内定を出すことは、ルール上、認められていません。 しかし、多くの企業は、選考解禁日となる6月1日に活動を開始し、9月末までには採用者を決定するケースがほとんど。そこで、内々定という形で雇用を約束し、内定者を確保しているのです。 始期付解約権留保付労働契約とは 始期付解約権留保付労働契約とは、以下2つの条件が付けられた労働契約です。 ・始期付=働き始める期日が決まっていること ・解約権留保付=業務開始日までの間、契約の解約権を保持すること 言い換えると、「業務開始日が決められており、かつ、企業側が一定の範囲内で契約を解約できる権利を持っている労働契約」ということになります。 内定通知書と採用通知書の違い ここで、労働契約の成否基準について補足しておきましょう。 一般的に、「始期付解約権留保付労働契約」は、内定通知を受けた応募者が誓約書(内定承諾書等)を提出した時点で成立するとされています。しかし、状況によっては、企業側が内定を通知した時点で契約が成立する可能性もあり、実際にはケースバイケースで判断されています。 そこで、トラブル防止のために作成しておきたい書類が「内定通知書」です。法律で発行が義務付けられているものではありませんが、書面に残しておけば「採用内定」という意思表示を示す証拠となります。内定者に雇用条件を明確に伝えることで、企業としての信頼度も高まるため、発行しておいて損はないでしょう。 ちなみに、「内定通知書」と似た書類に「採用通知書」がありますが、実はどちらも法的な定義は決められていません。会社によって定義を分けている場合もありますが、ほぼ同じ意味合いで使われていることも多いです。 ただ、ここで気になるのが法的拘束力の有無。「内定通知書」はその名の通り「内定」を知らせるものなので、「始期付解約権留保付労働契約」を締結した証拠として扱われると考えられます。 では、「採用通知書」はいかがでしょうか。法的拘束力の有無については見解が分かれることが多いですが、「採用が決定しました」といった雇用を約束するような表現が記載されている場合は、労働契約が成立していると判断される可能性が高いです。後ほどご説明しますが、企業側が内定を一方的に取り消すことはできないため、いずれの書類も「労働契約を締結するために交わす書類」という意識をもって発行するようにしましょう。 採用・内定の取り消しは可能?通知を出す前に知っておきたい注意点 ここからは、内定の取り消し可否について解説していきます。応募者による内定辞退と大きく扱いが異なるため、トラブルにならないようしっかり把握しておきましょう。 まず、採用・内定ともに応募者側は辞退できるようになっています。これは、憲法第22条で「職業選択の自由」が規定されているためであり、企業側は拒否することができません。 第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。 対して、企業側の内定取り消しは「解雇」に相当し、正当な理由がなければ取り消すことができません。 では、「内定取り消しが認められる正当な理由」とは、どのようなケースを指しているのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。 なお、労働契約に至る前の採用や内々定は解雇扱いになりません。しかし、応募者に雇用を約束している以上、一方的な取り消しは応募者の信頼を損なう行為となります。法的な拘束力はないとしても、内々定の取り消しには細心の注意を払う必要があるでしょう。 内定取り消しが認められるケースとは? 内定取り消しが認められるケースとして、以下の5つが挙げられます。 1.内定者が学校を卒業できなかった場合 2.内定者が健康上の理由により働けなくなった場合 3.内定者が犯罪行為を起こした場合 4.内定者が虚偽の申告を行った場合 5.会社の業績悪化や不振により経営状態が著しく悪化した場合 上記に該当する場合は、認内定取り消し事案として認められる可能性が高いですが、それでも法的に契約を結んでいる以上は簡単に内定を取り消すことはできません。過去には内定取り消しをめぐる裁判も起こっているため、慎重かつ真摯な対応を心がけましょう。 こちらの記事では、過去の判例を交えながら内定取り消しについて解説しているので、より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。 まとめ 最後に、採用・内定・内々定の違いをまとめておきましょう。 <採用> 企業側が応募者に対して雇用する意思を示している状態(法的拘束力なし) <内定> 企業と応募者の合意のもとに締結された労働契約(法的拘束力あり) <内々定> 労働契約に至る前の内定予定通知(法的拘束力なし) どれも「雇用を約束する」という肝の部分は同じですが、法的な位置づけは異なります。万が一のトラブルを避けるためにも、この違いをしっかり押さえておきましょう。 この記事を書いた人

SNSを採用に活用!ソーシャルリクルーティングとは?そのメリットも解説

2022-05-17 06:52:27 1234 view
もはや日常生活に欠かすことのできないものとなったSNS。いつでも手軽に利用できるので、コミュニケーションツールとしてだけでなく、さまざまな情報収集を目的に使っている方も多いと思います。就職、転職活動で利用される方もいますね。 情報を求めている方がいるということはつまり、情報を発信する側にとってもSNSは有効な手段といえるため、近年では採用活動にSNSを活用する企業も増えてまいりました。それを「ソーシャルリクルーティング」といいます。よく「ダイレクトリクルーティング」と間違えられるため、その違いは後述します。 採用戦略におけるソーシャルリクルーティングのメリット・デメリット、注意すべき点、そして主流SNSそれぞれの特徴と活用できるポイントなどを解説するので参考にしてください。 ソーシャルリクルーティングとダイレクトリクルーティングの違い 「ソーシャルリクルーティング」とは、簡単にいってしまえば、SNSを利用した採用方法のことです。 日本では実名SNSの普及が他国に比べて遅れたということもあり、2010年前後から徐々に知られるようになった方法ですが、世界的にはその2年前の時点で既に7割以上の企業がソーシャルリクルーティングを採用していたといわれています。アメリカにおいては2013年時点でなんと94%もの企業が活用しています。 ▶参照:Jobvite, The 2013 Social Recruiting Survey Results Are Here! もちろん世界的に活用されていても、日本の企業や求職者とマッチングするとは限りません。しかし総務省の発表によると、2016年度時点で、就職活動が活発な日本の20代のSNS利用率はおよそ98%。つまり求人を予定している企業であれば、少なくともソーシャルリクルーティングがどういうものなのかを知り、検討してみる価値はあるのではないでしょうか。 ▶参照:総務省, 平成29年版 情報通信白書, SNSがスマホ利用の中心に なお、よく「ダイレクトリクルーティング」と間違えられますが、概念が異なるので注意が必要です。 ダイレクトリクルーティングとは、企業が応募者を待つ従来の求人スタイルではなく、積極的に候補者にコンタクトをとって採用につなげる方法のこと。その際にSNSを使う場合には、ソーシャルリクルーティングとダイレクトリクルーティング、どちらも当てはまるといえます。 ソーシャルリクルーティングのメリット 今まで企業の広報活動やブランディング、マーケティングなどにSNSを活用していなかった企業においては、どうしても採用戦略としてSNSを利用するということに抵抗を感じるケースもあるかもしれません。 まずはソーシャルリクルーティングのメリットを確認してみましょう。 潜在層にもアプローチができる SNSの魅力は、なんといっても情報が広まりやすいこと。多くのフォロワーを獲得するのも大事ですが、上手くいけば投稿がシェアされて拡散されるので、フォロワー以外にも情報を届けることができます。 そのため、もともと自社を認知している、あるいは興味を持っている方々だけでなく、今まで知らなかった潜在層にも求人情報が広まる可能性があり、ホームページなどで求人情報を提示するだけの企業よりも、候補者の幅を広げることができます。 ミスマッチが防げる 企業と求職者の直接の接点といえば、旧来であれば選考を進める上での面接くらいだったのではないでしょうか。面と向かって話せるとはいえ、面接というと緊張して思ったように自身の魅力や長所を出せない求職者もいるでしょうし、あるいは少なからずいい面を見せようとする人がほとんどだと思うので普段の姿が見えてこず、企業とカルチャーフィットするのかわからない求職者もいるでしょう。 しかしSNSで募集した場合、事前にある程度候補者のライフスタイルや人となりなどを見ることができるので、面接前にスクリーニングすることができます。また、自社SNSに職場の環境や雰囲気が伝わるような投稿をすることで、求職者側も自分の希望している環境とのミスマッチを防ぐことができるというメリットもあります。 タレントプールできる タレントプールとは、今後も関わっていきたい人材とのつながりを維持し続けていくこと。 企業と求職者双方が「入社してほしい」「入社したい」と考えていても、採用枠が予定よりも減ってしまった、今勤めている会社から退職できなくなってしまった、などさまざまな理由から採用ができなくなることもあるでしょう。 その場合、今までであれば縁がなかったと諦めることがほとんどだったと思いますが、SNSでつながっておけば、いつでもコンタクトをとることができるので、互いのタイミングが合った際に改めて応募を促すことで、機会損失を減らすことができます。 コストがかからない 通常、求人広告にはコストがかかるものですが、SNSは基本的に開設から運用まで無料で利用できるので、そこで採用につながることができれば予算を抑えられ、他事業にその分のリソースを割くことができます。 もちろんSNS広告を掲載したり、計測ツールを利用したりすれば、別途料金がかかるケースもありますが、SNSは上手く利用すれば求人だけでなく広報の役目を担うこともできるため、長い目で見ればやはりコスパがいいといえるでしょう。 ブランディングがしやすい 前項でも少し触れましたが、SNSは広報の役目も担うことができます。多種多様なユーザーの日常に寄り添うツールなので、企業や事業のコンセプト、モットーなどをしっかり定義づけ、それを認知させるにはうってつけの場といえるでしょう。もちろんSNSアカウントのみをひとり歩きさせ、企業イメージと別のブランディングを行うことも可能です。 特に写真や画像、テキストを同時に端的に見せることができるので、それまでその企業や事業について知らなかったユーザーも日常的に投稿を見ることで、自然と理解度を高めていくことができます。 SHARPのTwitterアカウントに代表されるような、いわゆる「ゆるい企業SNS」という、一般ユーザーが気軽に絡める人気アカウントになれば、もはや企業のイメージにも左右されない大きな影響力を持つこともありえます。ただし2009年ごろ爆発的なTwitterブームとともに、多くの企業がそれを目指して新規開設した結果、上手く運用することができず淘汰されてしまった経緯もあるので、今から新たにそのポジションを狙うには、徹底した事前準備と、発信力を持った担当者の確保が必要となり、なかなか成功させるのは難しいでしょう。 まず考えるべきは、自社の見せたい面はどこなのか、という点であり、そしてそのブランディングを図るにはどういったユーザーにどのように感じてもらえたらいいのか、と考えていくと、目標とするべきところが見えてきそうです。 ソーシャルリクルーティングのデメリット 当然ですが、メリットがあるものにはその反面、デメリットも存在します。いざ始めてみたはいいものの、上手く活用できなくて頓挫してしまう、ということを避けるためにも事前にそのリスクを確認しておきましょう。 長期的な運用が必要 SNSを開設するのはとても容易ですが、最初から一定数のインプレッションやエンゲージメントが確保できるわけではないので、ある程度フォロワーが増えるまで長期的な運用が要されます。 また、フォロワーが増加しても上手く候補者と出会えるとは限らず、さらにはSNSの特徴としてどんなに有益であっても過去の情報は人目につきにくくなるという面があるため、コンスタントな更新も求められます。 スマホ1台あれば開設も更新もできるので、作業自体は難しいものではありませんが、ブランディングに沿った投稿を毎回行わなくてはいけないこと、候補者の投稿内容やメッセージから真意をきちんと読み取り、会社の求めている人材を見つけ出すスキルが必要となるので、SNS担当者の采配はとても重要です。 炎上リスクがある 「炎上」と聞くと「大きい会社ではないからそこまでの影響力がない」「毎回きちんと投稿前に確認しているから問題ない」と考える方も少なくないかもしれませんが、このSNS時代ではどういった発言や写真が炎上に発展するかわかりません。 最初の投稿はきちんと全方向のユーザーに向けて考えられたものであっても、ひとつのコメントから派生してコミュニケーションを続けるうちに思わぬところから炎上してしまうこともありえます。 また、アカウントを乗っ取られて不適切な投稿をされてしまう可能性も拭いきれません。特にSNS運用担当者が複数いる場合などは、簡単に共有できるよう企業名や開設日など簡単なパスワードを設定していることもあるかもしれないので注意しましょう。 どちらにせよ、ある程度SNSに関する知識をもった人材を担当者にアサインし、炎上した場合を想定して事前に対策をいくつか社内で共通認識として持っておく必要がありそうです。 ソーシャルリクルーティングに必要なフォロワー数、閲覧数の目標設定 これからソーシャルリクルーティングを始めるのであれば、事前に目標設定をしたいですよね。具体的にはSNSのフォロワー数と求人ページの閲覧数といったところでしょうか。 閲覧数に関しては、よく、求人ページの閲覧1,000人でようやく1人が内定にいたるといわれています。1,000人のうち10人がエントリーし、その中から面接に進むのが5人、そして1人が内定、という内訳と考えていいでしょう。あくまでも一般論ですが、この数値をもとにフォロワー数の目標値を計算してみます。 まず、主要SNSのアクティブユーザー率(月間)を挙げます。 Twitter:70.2%(2015年6月時点) Instagram:84.7%(2015年6月時点) Facebook:56.1%(2015年6月時点) LINE:85%(2011年6月時点) 参考: ▶Twitter・Instagram・Facebook:App Ape Lab., 12のメジャーなSNSのアクティブ率を比較してみた+MixChannel【2015年6月版】 ▶LINE:LINE Business Guide 2021年1月-6月期(LINE for Business媒体資料内) 各SNSのMAUの中から1%が求人ページを閲覧すると仮定すると、1人採用するために下記の式が成り立ちます。(例:Twitter) 1人内定=X人(フォロワー数)×70.2%(アクティブユーザー率)×1%(求人ページ閲覧率)×0.1%(採用倍率) つまりTwitterの場合、X=約1.4万人のフォロワーが必要になります。 基盤がなく、これからアカウントを新規開設する企業の場合、1万人以上のフォロワーをすぐに獲得するのは難しいと感じるかもしれません。ただしこの計算式は求人ページの閲覧率を1%とした場合なので、投稿内容や頻度によって異なります。 普段から注目を集める投稿をしている場合や、求人情報ページを掲載した投稿がフォロワー外にシェアされる場合には、もっと少ないフォロワー数でも効果をなすと考えられるので、これはひとつの指標として参考にした上で、世間の自社に対する認識をリサーチして決定するとよいでしょう。 求める人材とSNSの選び方 さて、今まで採用活動にSNSを活用してこなかった企業の場合、どれをソーシャルリクルーティングに利用するか悩んでしまうかもしれません。ここで簡単に主要SNSそれぞれの特性とユーザー層について触れたいと思います。 Twitterの特性・ユーザー層 Twitterはやはり特に手軽さが感じられるSNSではないでしょうか。140字という字数制限があるのが最大の個性で、そのため「ふと思いついたときに気軽につぶやく」という付き合い方をしているユーザーも多く見受けられます。 ユーザー層は10代~20代が特に多いといわれており、上に挙げた主要SNSの中では日本において最初に流行ったSNSであるため、ほかよりも幅広いのが特徴です。ワンタップで「いいね」をつけたりRTしたり、ほかのユーザーへ情報をシェアする機能が充実しており、拡散されやすい傾向にあります。 Instagramの特性・ユーザー層 近年のSNSを活発化させた立役者ともいうべきInstagramは、やはり写真を使った投稿が基本なので、ビジュアル面によるブランディングがしやすい反面、ある程度撮影や画像編集の知識が要されるのが特徴です。 ユーザー層は20~40代の女性が多いといわれていましたが近年では男性のユーザーやさらに上の世代も増えてきています。24時間で消えるストーリーズ機能や動画で凝った演出が叶うリール機能など、とにかくビジュアルに特化させた機能が豊富であることが特徴。拡散はされにくいですが、ブランディングには適しています。 Facebookの特性・ユーザー層 実名登録が原則というのがなによりも特徴的なFacebook。日本ではビジネスの場で利用されることが多く、テキストも写真もリンクも他SNSと比べて容量などの制限が厳しくないので、企業、事業紹介やセミナーの告知などもしやすい環境でしょう。 ユーザー層は40代中心で弱年齢層が少ないという、他SNSよりも幅が狭めであるため、ターゲット層がマッチしていれば一番反応を得やすいかもしれません。 3つのSNS以外にもLINEやTikTok、LinkedIn(リンクトイン)などありますが、クローズド訴求が一般的だったり(LINE)、ブランディングはしやすくても求人は難しかったり(TikTok)、まだあまり日本では一般的というまで普及していなかったり(LinkedIn)するため、まずはTwitter、Instgaram、Facebookのいずれかで試してみて、それから次の一手として選んでもよさそうです。 新卒・中途・アルバイト採用 募集している人材によって投稿内容も変えるべきだと考えられます。 まず、新卒採用を予定している場合には、ほとんどの求職者が初めての会社員生活になるため、働くということに対してモチベーションを持ってもらうことを最優先にしたいところです。 若手社員も認められる環境だということを見せるために裁量権のある若手社員にインタビューした動画を公開したり、成功した過去のプロジェクトを見せたりするとよいでしょう。 中途採用を予定している場合は、なんらかの理由で前職を離職、あるいは離職を検討しているわけなので、積極的にDM機能などを使ってヘッドハンティングすることも検討できます。また、産休、育休や住宅補助、食事手当など福利厚生が充実しているところをアピールしましょう。 アルバイト採用を予定している場合は、やはり実際の職場の雰囲気を見せることが大事です。どういった人が上司になって、どういった人と一緒に働くことになるのか、そしてどういった環境で過ごすのか、そういったところを重点的に見せて、「入社したらイメージと違った」というミスマッチを防ぎましょう。 ソーシャルリクルーティングが求められている理由 日本総SNSユーザーともいわれている今の時代、企業も活用しない手はありません。従来の採用活動といえば、求人情報を提示して応募者を待つという、いわば一方通行で進行するしかなかったわけですが、SNSを運用することで求職者と双方向でコミュニケーションをとることが可能になります。 求人を行わないときにはブランディングにもマーケティングにも利用できるので、ソーシャルリクルーティングをしないにしても、まずは開設してみてもいいかもしれません。ただしその際は、コンセプトなどをきちんと定めて、それを具現化できるスタッフを担当者に采配しましょう。 もし見つからない場合には、まずその適任者を探すためにSNSで募集をかけてもいいかもしれませんね。