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2023年11月1日・弊社グループ会社であるトラエンコ日本語教育センターにて
東京での建設会社の面接でした。5名の候補者が面接に参加しました.
取締役会は最も優れた候補者を選出するために非常に細心の注意を払っていました.建設機械詰め込み作業で2名を採用して頂きました。
合格した2名はこれからトラエンコ日本語センターに入校し、 5ヶ月間で日本語学習し、日本での生活する為のルールの教育受けます。 学習期間を一生懸命頑張って貰い、日本へ無事に入国する様に願っています。
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–2023年10月25日・弊社グループ会社であるトラエンコ日本語教育センターにて福島県にある会.
–6名の候補者が面接に参加しました.
– 試験と身体検査を受けました
–取締役会は最も優れた候補者を選出するために非常に細心の注意を払っています
– 最終的に2名の候補者が選ばれました。おめでとうございます.残りの4人の候補者は引き続きセンターで日本語の学習を続け、次の申請に向けて面接を行う。
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実習生2名が1ヶ月間の組合での講習を経て会社配属に復帰.
彼らは新しい会社で同僚に会って一緒に仕事ができることをとても楽しみにしています.
組合の代表者がお二人を連れて転入手続きをしていただきました.
とび溶接業界の実習生2名が火力発電所で溶接仕事で働きます.
皆の健康、安全な仕事をお祈り申し上げます。
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2022年1月に「派遣契約によるベトナム人労働者海外派遣法」が改正されました。この法律はベトナム人が海外で働く労働者の保護を目的に成立した法律で技能実習生やエンジニア、特定技能など日本で働くベトナム人を送り出す会社(機関)にとって守らなければならない重要な法律です。今回の改正は制度について大きく改正され、特に技能実習生に影響にある部分を解説したいと思います。
1、改正法69/2020/QH14(2022年1月1日より施行)
ベトナムでは、これまで送り出し機関は、「仲介者」(注)に支払った仲介料の全部又は一部を労働者に負担させることが出来ました。しかし、改正法第7条第8項において、送り出し機関が仲介料を労働者本人に負担させることは禁止されました。 (注)海外の受入先を送り出し機関に紹介する仲介者
QUINNハノイ送り出し機関は社内の募集部で地方の求人を行い、面接をしています。法改正前は仲介会社をとおして募集していましたが、今回の改正で仲介会社と協定での募集活動が出来なくなりました。そこでTRAENCO国際株式会社送り出し機関は送り出し機関の募集部スタッフを雇用し、地方で活動しています。求人から募集まで一貫した管理を行うことで技能実習生、特定技能外国人から二重で手数料の徴収を防いでいます。
2、政令112/2021/ND-CP(2022年1月1日より施行)
契約に基づいて海外で働くベトナム人労働者(以下、ベトナム人労働者)を送り出す企業(送り出し機関を含む)の条件およびライセンス発行の手続きについて定めたものです。日本に送り出す送り出し機関が配置しなければならない担当者の水準(JLPT基準でN2以上)や教育施設の条件が定められています。さらに介護の場合には、日本側のカリュキュラムに沿って教育できるN2以上の日本語教師の配置などを設定し、かつ、介護機器を備えた教育施設の設置が求められています。
>>現在ベトナムで535社(2022年5月1日現在)の送り出し機関があります。この中でライセンスだけ供与するだけの事業者や活動していない事業者などさまざまです。日本へベトナム人労働者を派遣する事業を行うにはしっかり日本語教育が出来る人や日本側と意思疎通が出来る者が必要になるということです。コロナ前は年間8万人以上の技能実習生が日本に渡航していました。その中では日本語を勉強せずに渡航したものをいたようです。会社側は実習生の渡航前の学習状況まで把握することは困難なのでしっかりとした日本語教育を行っているかどうかチェックすする必要があります。また、介護は特に厳しく、渡航前までにN4取得が条件ですし、2号移行前までにN3取得が必要となります。
3、省令21/2021/TT-BLDTBXH(2022年2月1日より施行)
送り出し機関が支払う「仲介者」(上記1の仲介者に同じ)への仲介料について日本向けの派遣はいかなる場合においても上限は0ドン、つまり支払われないとされました。技能実習制度におけるベトナム人労働者が送り出し機関に支払う手数料は、一年契約(移行職種でない技能実習)はUS$1200、三年契約(2号移行職種の技能実習)US$3600とされていましたが、それぞれ給与の一か月分(一年契約)、三か月分(三年以上契約)となりました。
>>1で説明したとおり、日本向けの派遣は仲介業者をとおして人材を募集することが出来なくなりました。技能実習生、特定技能のベトナム国内の人材募集は資格を持った事業者(送り出し機関や人材紹介会社)しか出来ません。
その他、技能実習制度において、これまでのベトナム副大臣の公文と異なる内容(日本側の負担に関する内容)は、以下のとおりとなります。
- 技能実習生が負担する宿泊施設の家賃は、基本給/月の15%以下とする。
- 日本における宿泊施設と職場との往復費用(通勤費用)は、日本の企業負担とする。
- 介護職種において入国前講習費(日本語講習)の全額(一人10万円以上)は、日本側負担とする。
また、特定技能制度において、これまで出入国残留管理庁にて案内されていた内容(日本側の負担に関する内容)と異なる内容は以下のとおりとなります。
- 日本語訓練及び職業技能訓練の費用の全額(一人当たり10万円以上)を、日本側負担とする。
- 日本における宿泊施設から職場への通勤費用は、日本側の負担等する(省令による規程ではなく、ベトナム当局の通達)。
>>家賃は今まで上限が2万円(東京、名古屋、京都、大阪においては3万円)が上限でしたが変更になりました。通勤費用は明確に全額が会社負担となります。各会社様の通勤手当は就業規則で上限等定めている場合もあると思いますが、技能実習生においては全額会社負担となります。日本渡航前の職業訓練費用についてですが、520時間の事前教育費用の実習生の負担上限が590万ドン(およそ3万円)が撤廃され、企業側に教育費用の負担を求めることになりました。これが10万円以上になり、企業側が教育費を全額負担することで実習生の負担を軽減させることが目的となります。
4、DOLAB(ベトナム海外労働管理局)の通知(2022年3月3日付)
日本側の受入側と締結できるベトナム送り出し機関の数を制限する規制は、適用されなくなると案内されました。
>>通知前は年間100人以下の送り出し機関は3つの監理団体、1000人以下は5つの監理団体としか協定を締結して送り出しをすることが出来ませんでした。これにより優良な送り出し機関は多数の監理団体をとおして送り出しをすることが出来るようになりました。企業から送り出し機関を指定することも可能となったわけです。送り出し機関と監理団体の悪しき癒着も過去から問題とされていました。これからは企業とベトナム人労働者をマッチングさせる人材の仲介サービスをしっかりと行う監理団体、送り出し機関をユーザーから選ぶことが可能とになります。
まとめ
今回の法改正は世界的にみて日本への海外労働派遣はILO(国際労働機関)から厳しい指摘もあり、欧米からは人身売買にあたると警告を受けています。また、ベトナム政府監査院から日本への技能実習生派遣についてベトナム労働省を厳しく批判しています。このような背景があり、法改正に至ったようです。この法改正の前に大手送り出し機関の資格停止など厳しい措置も行われていて、ベトナム政府もこの労働者派遣について本気で挑む姿勢がみれます。
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企業にとって最良の方針で採用したい場合は、グローバル採用について知っておくことが大切です。グローバル採用は、国籍を問わずにさまざまな国の人を採用する方針のことで、大企業から中小企業に至るまで、さまざまな企業が注目しています。
外国人とはコミュニケーションが難しく、雇用することは難しいと思っている経営者が多いのではないでしょうか。本記事では、グローバル採用の特徴やメリットとデメリット、採用時のポイントについて詳しくご紹介します。
グローバル採用とは?
グローバル採用とは、日本人に限らず、さまざまな国の人を採用することです。また、海外進出をしている企業において、現地法人での採用活動のことをグローバル採用と呼びます。さまざまな国の人が1つの企業で働くケースは、海外では珍しくありません。日本は、グローバル社会が構築されていないため、グローバル採用を行っている企業はまだまだ少ないのが現状です。
また、外国人労働者を雇う方法や法的リスク、職場環境の整え方などがわからず、グローバル採用を推進しづらい経営者が少なくありません。外国人労働者の人材紹介会社に任せれば、スキルが高く、円滑なコミュニケーションが可能な外国人を雇うことが可能です。
グローバル採用のメリット・デメリット
グローバル採用は、「外資系企業を取引先とする企業」、「観光客向けの事業を展開する企業」などに向いている採用方針です。しかし、メリットだけではなくデメリットもあるため、グローバル採用を行うかは慎重に検討する必要があります。
グローバル採用のメリットとデメリットについて、詳しくみていきましょう。
メリット
海外のさまざまな国籍の人が集まることで、画期的なアイデアが創出されやすくなります。また、文化や価値観の違いを知ることが刺激になり、モチベーションが上がる可能性もあるでしょう。そのほか、海外進出における主力人材を得られることもメリットです。
海外進出を計画している国の言語をネイティブレベルで話せる人材を雇用すれば、現地で事業をスムーズに展開できます。また、現地の事情に詳しい人材を採用できれば、海外での事業展開がさらに効率化するでしょう。
デメリット
グローバル採用のデメリットは、コミュニケーション能力やビジネススキルが低い人材がいることです。言語の壁の影響で、採用前に外国人のコミュニケーション能力やスキルを見抜くことは難しいでしょう。
日本語能力が高くても、ビジネスの基本を理解していなかったり、日本の文化を理解できなかったりすると、十分な成果を挙げられません。
そのほか、会社になじめないことで早期に離職するリスクもあります。日本人と外国人は文化が異なるため、お互いに歩み寄る意識を持つことが大切です。しかし、同じ職場で働く労働者の中にグローバル採用を頭ごなしに否定したり、外国人が日本人の文化を理解しようとしなかったりすれば、離職者が増える可能性があります。
日本人と外国人の間で対立が起これば、チームワークが崩壊する恐れもあるでしょう。また、外国人は個人プレイ、日本人はチームプレイを重視する傾向があります。このような働き方の違いもグローバル採用の障壁になり得ます。
グローバル採用のポイント
グローバル採用は、単に外国人労働者を採用するだけではメリットを得られません。それどころか、職場の雰囲気が悪くなったり業務遂行に支障をきたしたりする恐れがあります。グローバル採用を成功させるために、次の2つを押さえておきましょう。
お互いに歩み寄る姿勢を持つように指導する
外国人と日本人では文化が異なるため、どうしても対立が起こります。外国人と日本人の両方が働きやすい環境を作るために、お互いに歩み寄る姿勢を持つように指導しましょう。お互いに、自分とは異なる価値観や考え方を受け入れる姿勢が必要です。
また、コミュニケーションにおけるマナーやミーティングの進め方など、基本的な知識を習得できるようにサポートしましょう。
信頼できる人材紹介会社を利用する
信頼できる人材紹介会社から外国人労働者の紹介を受けることで、企業に合った人物を採用できる可能性があります。自社に適した外国人を紹介できるだけではなく、採用後のサポートまで充実した人材紹介会社を選びましょう。
ウィルオブ・ワークでは、外国人労働者の紹介と派遣を行っており、留学生、日本人の配偶者、永住者・定住者などの在留資格がある外国人を紹介しています。
また、日本語学校との連携や外国人コーディネーターによる集客ルートが充実しているため、約2万人(2020年9月時点)の外国人の中から企業に合った人物を紹介できます。さらに、外国人労働者に関するトラブルが起きたときは、即日でサポートすることも可能です。
これからはさらにグローバル採用が広がる?
グローバル採用は、2010年頃から注目を浴びはじめ、多くの企業が導入しています。日本では、企業のグローバル化が促進されているため、今後もグローバル採用が広がることが期待されています。外国人労働者を早い段階で雇用し、将来の主戦力へ育成することも1つの方法でしょう。
外国人労働者は、言語や文化の違いによって、仕事に支障をきたしやすいイメージがあるかもしれませんが、信頼できる人材紹介会社を活用すれば理想的なグローバル採用へと一歩近づきます。
こちらの記事では、外国人労働者に特化したおすすめの人材紹介会社・派遣会社をまとめて紹介しています。比較・検討の参考にしてください。
まとめ:グローバル採用を導入して企業の未来をつくろう
グローバル採用に成功すれば、さまざまな価値観や考え方によって画期的なアイデアが創出されたり、お互いに刺激し合えたりします。企業の明るい未来を作るために、グローバル採用の導入を検討してみてはいかがでしょうか。自分だけで外国人労働者を雇うのではなく、まずは人材紹介のプロに気軽に相談してみましょう。
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総務省の統計局労働力調査によると、建設業界全体の就労者のピークは1997年の約685万人。
その後2015年の500万人と比較すると約27%減少しています。
この背景には、高齢化による従事者の引退や若者の建設業離れがありました。
その一方で、2015年から2019年では、建設業界にける労働人口の大きな変化はありません。
2015年から2019年にかけて外国人就労者が3倍の推移で増えたからです。
今後、さらに増加していくであろう建設業界の外国人就労者。その中でも特定技能外国人について完全解説していきます。
建設業界における特定技能の概要
建設分野の特定技能は、特定技能運用要領とは別に『特定の分野に係る特定技能外国人の受け入れに関する運用要領-建設分野の基準について』運用要領があります。
なぜ2つあるのかというと、特定技能運用要領=出入国在留管理庁が管轄で特定の分野=各省庁のルールが定められているからです。
建設分野は国土交通省が管轄になります。概要の中のポイントを抜粋してご説明します。
※参考元:「出入国在留管理庁」特定技能外国人の受け入れに関する運用要領
受け入れ見込数
2019年に発表された、5年間の受け入れ見込数は建設分野では4万人を想定しています。
コロナ過ではありますが、帰国できない技能実習修了者の特定技能移行者は増えています。
建設分野における特定技能の受け入れ人数推移 |
||
2019年12月末 | 2020年3月末 | 2021年3月末 |
107名 | 267人 | 2116人 |
※参考元:政府統計の総合窓口(e-Stat)
特定技能の建設分野で受け入れが可能な職種は下記
2019年4月1日から始まった特定技能では、制度がまだ整っていない部分もあります。
グレーにしている職種は現状、技能実習では無い職種なので、特定技能評価試験に合格した方しか採用ができません。
建設分野における特定技能の受け入れ可能職種 | |||
型枠施工 | 左官 | コンクリート圧送 | トンネル推進工 |
建設機械施工 | 土工 | 屋根ふき | 電気通信 |
鉄筋施工 | 鉄筋継手 | 内装仕上げ/表装 | とび |
建築大工 | 配管 | 建築板金 | 保温保冷 |
吹付ウレタン断熱 | 海洋土木工 |
国内外の特定技能評価試験の状況
現状コロナ過ということもあり、国外での技能検定評価試験は進んでいない現状です。
国内試験からの合格率、受講者数を参考にしていただければと思います。
また、技能実習での対象職種の試験はまだまだ行われていない現状があります。
※建設は実技試験の難易度が高いため、留学生や他職種からの受講が少ないためです。
実施日 | 地域 | 職種 | 移行職種 | 受験者数 | 合格者 | 合格率 |
2020年8月 | 静岡 | 鉄筋接手 | 33人 | 32人 | 97% | |
2020年9月 | 静岡 | 土木 | 44人 | 28人 | 64% | |
2020年12月 | 東京 | トンネル 推進工 | 34人 | 19人 | 56% | |
2020年12月 | 東京 | 電気通信 | 48人 | 21人 | 44% | |
2021年3月 | フィリピン | 電気通信 | 5人 | 5人 | 100% | |
2021年3月 | ベトナム | 鉄筋施工 | 〇 | 24人 | 19人 | 79% |
特定技能のデメリットや特定技能の転職について詳しく知りたい方は、別記事「特定技能の転職~建設業における特定技能の転職についても解説~」で解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
建設分野の特定技能の受け入れ方法と特徴
特定技能を受け入れる方法として5つの方法があります。
2.留学生が技能試験と日本語能力試験を合格し特定技能へ移行
3.海外にいる試験合格者、元技能実習生を採用
4.現在日本にいる技能実習修了予定者を採用
5.特定技能転職者の採用
1:技能実習から特定技能への移行
現在雇用している技能実習生を、特定技能に移行することが可能です。
同じ職種で特定技能移行の場合は、技能検定随時3級に不合格の場合でも評価調書があれば特定技能に移行が可能です。
2:留学生が技能試験と日本語能力試験を合格し特定技能へ移行
建設以外の職種では、実際合格者も出ていますが実技が重要となる建設職種では留学生からの特定技能試験合格者はかなり少なく、今のところ現実的ではありません。
3:海外にいる試験合格者、元技能実習生を採用
技能実習を修了して帰国した方を再度、特定技能として採用する方法です。
1、3の方法では必要ない入国に関する航空券などのコストが別途必要となります。
4:日本にいる技能実習修了予定者を採用
現在他社で就業している技能実習修了予定者を採用する方法です。
引き続き同じ実習実施先で就労を希望しない技能実習生または、企業が特定技能移行を希望していない技能実習生を、人材紹介会社を通して採用できます。
5:特定技能転職者の採用
特定技能は転職が可能ですので、人材会社を通して紹介または求人媒体等で集客して採用することが可能です。
受け入れに必要なポイント
技能実習も一緒に検討される場合があると思いますので、わかりやすく比較表でまとめました。
技能実習 | 特定技能 | |
建設業法第3条の許可 | 必要 | 必要 |
建設キャリアアップシステム加入 | 必要 | 必要 |
受け入れ人数の制限 | あり | あり |
月給制 ※天候不良60%保証 | 月給 | 月給 |
建設人材機構の会員または賛助会員入会 | 必要なし | 必要 |
監理、支援について | 監理団体または自社 | 登録支援機関または自社 |
建設キャリアアップシステムの加入
建設キャリアアップシステムの加入は、事業者の登録と技能者の登録が必要です。
2024年には全技能者の登録を目標にしており、技能実習生・特定技能労働者は技能者登録が必須になります。
※参考元:「一般財団法人建設業振興基金」建設キャリアアップシステムHP
受け入れ人数の制限
技能実習と特定技能で解釈が違いますので押さえておきたいポイントを紹介します。
技能実習での常勤人数
常勤の人数には、外国にある事業所に所属する常勤の職員、技能実習生、外国人建設就労者及び1号特定技能外国人を含みません。
常勤職員数は、代表取締役、役員を除く人数。
特定技能での常勤人数
特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数と特定活動の在留資格で受け入れる外国人(外国人建設就労者)の数の合計が、特定技能所属機関の常勤の人数(外国人技能実習生、外国人建設就労者、1号特定技能外国人を除く。) の総数を超えないこと。社会保険の加入人数で、常勤職員となる。
※社長は、他の企業で役員をしていないことが前提です。
②役員 ⇒常勤はカウント、非常勤はカウントなし
※常勤非常勤は、週5日30時間以上勤務していて適切な社会保険料を納めていることが前提です。
月給制
法改正により、2021年4月以降より技能実習、特定技能ともに月給制が原則となります。
天候不良、現場調整での休みの場合も1日の給料の60%を支払うことが必要です。
建設人材機構の会員または賛助会員入会
特定技能のみ建設人材機構の会員または賛助会員の入会が必要になります。
監理、支援について
技能実習
一般的に監理団体の管理の元、技能実習生を受け入れます。
※管理は自社でまかなうこともできますが、その場合、厳しい条件をクリアする必要があります。
特定技能
一般的に必ず行わなければいけない義務的支援10項目を登録支援機関に委託して受け入れます。
※支援は自社でまかなうこともできますが、その場合、厳しい条件をクリアする必要があります。
建設特定技能採用のメリット
作業内容の汎用性が高い
特定技能の作業内容は、技能実習の作業内容と比較して、作業内容の汎用性が高いのが特徴です。
そのため技能実習生と比較して、特定技能外国人は、より日本人に近い作業内容で雇用することが可能です。
特定技能の作業内容については下記のリンクに記載されていますのでご確認ください。
※出典:「国土交通省」
日本語レベルが最低N4以上
日本語レベルが最低N4以上の外国人を採用できるため、技能実習から受け入れた場合とでは、言語での意思疎通のハードルが下がります。
外国人が特定技能の在留資格を取得する方法は2つあります。
2つの大きな違いは「試験なし」か「試験あり」かの違いです。
試験あり:技能検定・日本語能力試験を合格し、特定技能1号を取得
※日本語能力試験で求められるのは日本語レベルN4以上。技能実習からの移行は試験なしです。
専任技術者になることが可能
一般建設業は、下記の3つの内のどれか1つクリアできれば専任技術者になることが可能です。
・許可を受けようとする建設業種の実務経験が10年以上ある
・許可を受けようとする建設業種で定められた学歴+3年以上または5年以上の実務経験
技能実習から移行し、特定技能2号まで業務を継続した場合は、上記の「許可を受けようとする建設業種の実務経験が10年以上ある」をクリアすることができます。
※技能実習2号から特定技能1号へ移行した場合は特定技能2号でプラス2年の就労が必要
特定技能2号外国人が専任技術者になることで企業側としては、下記の2つのメリットがあります。
・新しく営業所や支店を出店することが可能
建設分野の特定技能のデメリット
日本人と同等以上の給与+受け入れ負担金
特定技能外国人は日本人と同等以上の給与設定が義務付けられています。
給料設定は特定技能外国人のキャリア年数と、同等のキャリア年数の日本人の給与を照らし合わせて設定します。
建設業界のみ特定技能1号を採用する際、受け入れ企業が毎月負担しなければいけない「受け入れ負担金」が発生します。
加えて登録支援機関委託費用など、日本人の雇用にはかからない費用が加算されるため実質日本人よりコストは高くなります。
受け入れ負担金 | |
1号特定技能外国人の区分 | 1人あたりの受け入れ負担金の月額 |
試験合格者(JACが行う教育訓練を受けた場合) | 2万円 |
試験合格者(上記以外の場合) | 1万5000円 |
試験免除者(技能実習2号終了者等) | 1万2500円 |
※参照:建設人材機構(JAC)
転職が可能
特定技能は転職が可能です。
特定技能は一定の技能を持った即戦力の採用がですが、その企業と特定技能外国人本人の意向が合わなかった場合は転職可能になります。
転職防止する対策としては、自社内で技能実習からの移行をし、技能実習の期間中に自社を愛してもらう教育やレクリエーションを行なうことで、転職の可能性は大きく減少します。
特定技能を受け入れる際の注意点
特定技能の受け入れを進めるうえで注意しておく事前の準備部分を解説します。
雇用条件の整備
従業員数10名以下の企業では就業規則の作成が必須ではありませんが、日本人労働者と特定技能外国人を比較した際に、国籍や言語などが理由で給料差などをつけることはできません。
そのため、あらかじめ社内規則をしっかり決めておく必要があります。
また技能実習生、特定技能労働者は月給になりますので加味して就業規則の作成が必要です。
特定技能の給料水準を検討する際には、下記ポイントを押さえてください。
・各地方労働局の職種別平均賃金から大幅に低くないこと
・技能実習時より給料水準を上げる
建設特定技能受入計画のオンライン申請
特定技能の在留資格申請を行う前に、建設分野に関して国土交通省管轄の建設特定技能受入計画のオンライン申請が必要になります。
ここで主にチェックされることは下記になります。その他提出資料も複数ありますので準備が必要です。
・日本人労働者との賃金比較、給料の合理的な説明
FITS(一般財団法人国際建設技能振興機構)について
FITSとは
FITSとは建設特定技能・特定活動が適正に実施されるために登録支援機関、受け入れ企業に対して巡回指導や、「FITS相談ホットライン」を開設し、外国人からの母国語による電話相談などを行っている機関です。
また、受け入れ後に特定技能の受け入れ後講習を実施する機関になります。
※参考元:一般財団法人国際建設技能振興機構「FITS HP」
巡回内容訪問
特定技能1号の受入企業を訪問し、建設特定技能受入計画等にしたがって適正な受け入れが実施されているかを下記の方法で確認し、指導を行います。
・賃金台帳や出勤簿等の書面の確認
・特定技能外国人との母国語での面談
※特定技能は、2019年にできた新しい制度なので巡回訪問の回数等の規定は現状ない状態です。
まとめ
今後ますます人材不足が厳しくなることが予想される建設業界。
本記事では、新たな常識となってくる建設業界の特定技能の受け入れについてご説明させていただきました。
特定技能にもメリット・デメリットがあります。
しかし適正な運用を行なうことで、企業側と特定技能外国人がお互い良い関係で仕事ができると思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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多くの企業が人手不足の深刻化が進む中、人材派遣の活用を検討中の企業も多いのではないでしょうか。
人材派遣をコスト・業務効率・競争力の3つの側面から見た時のメリットやデメリットを徹底的に解説します。
人材派遣を検討している方の参考になれば幸いです。
人材派遣の仕組み
そもそも人材派遣とは、いったいどういった雇用形態なのかをご説明します。
なんとなくは知っていても、詳しい仕組みまではわからないという方もいるのではないでしょうか。
人材派遣の場合社員が帰属するのは派遣会社であり、給与なども派遣会社から支払われます。
企業には派遣会社が雇用する社員が派遣され、企業はお金を給与として派遣社員に支払うのではなく、派遣会社へ手数料を含めて支払うという仕組みです。
人材派遣をコスト・業務効率・競争力の3つの側面から見た時のメリットやデメリットを徹底的に解説します。
コスト面での人材派遣のメリット
コスト面から見た人材派遣の活用のメリットは下記の4つです。
- 採用コストの削減
- 労務コストの削減
- 教育コストの低減
- 財務上は変動費に計上
ここでは一つずつ詳細に解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
採用コストの削減
採用コストとは、いわゆる書類選考や面接を行うための人件費、求人募集に出すための広告費などです。
通常ならそれらのコストがかかる上に時間もかかりますが、人材派遣を利用することで、すべて必要なくなります。
労務コストの削減
直接雇用であれば正社員やパート、アルバイトを問わず社会保険や雇用保険といった各種保険の対応、給与計算といった労務まわりの業務が増加してしまいます。
しかし派遣社員を雇用すれば、派遣社員の分の労務はすべて派遣会社がやってくれるのも、大きなメリットといえるでしょう。
教育コストの削減ができる場合もある
人材派遣会社は、登録スタッフに対してさまざまな研修を行っています。
また登録スタッフのスキルや経験をきちんと把握しているために、各企業の要望に沿った人材を派遣することができます。
はじめからスキルや経験のある状態で派遣されるために、即戦力として活用できるでしょう。
ただし、最低限の社内ルールの教育は必要ですし、任せる業務内容によっては教育が必要な場合もあるので注意が必要です。
財務上は変動費に計上
人材派遣の費用は、固定費ではなく変動費に計上できるのも大きなメリットです。
直接雇用とは違って基本的に外注費となるので、消費税はかかってくるものの財務上は固定費を削減できます。
こちらの「【2022】人材派遣会社8社比較!派遣雇用のメリットと各社特徴を解説」でも解説していますので参考ください。
業務効率面での人材派遣のメリット
業務効率面から見た人材派遣のメリットは下記の5つです。
- 業務量の変動に対応可能
- コア業務に正社員が対応可能
- ノウハウの蓄積が可能
- 業務改善のきっかけになる
- 欠員や休業者への対応が可能
それぞれどのような点にメリットがあるのか、詳細に解説していきます。
業務量の変動に対応可能
会社の業務は、常に一定の量を保てるわけではありません。
時期によって業務量が異なるのは珍しいことではないでしょう。
忙しい時期に合わせて派遣社員を雇用することにより、通常より増えた業務に正社員が対応することもなくなります。
残業などがなくなる、もしくは減ることで正社員の負担も少なくなり、ミスもしなくなるでしょう。
コア業務に正社員が対応可能
備品の管理や来客への対応などといったノンコア業務を派遣社員に任せることにより、正社員は企業の根幹にかかわる大切な業務、いわゆるコア業務に集中することができます。
会社の利益に直結するコア業務に正社員が集中することで、より利益を上げられるようになるでしょう。
ノウハウの蓄積が可能
時には社内に、ノウハウのない業務が発生することもあるでしょう。
そんな時にその業務の経験がある派遣社員を雇用することで、一から実務を試行錯誤するよりもよほど効率的に業務ができるようになるでしょう。
結果、手間をかけることなく素早く業務に関するノウハウを導入することができます。
また、候補者は派遣会社が選んでくれるため派遣社員の受け入れもスムーズに進みます。
業務改善のきっかけになる
派遣社員に業務を引き継ぐために、これまでの仕事の手順をマニュアル化することになります。
その際、業務の手順に無駄が見つかることもあり、業務改善のいいきっかけになることでしょう。
また、マニュアル化することで担当者にしかわからないというような属人性の排除にもつながり、より無駄なく効率的な仕事ができるようになります。
欠員や休業者への対応が可能
急な欠員や休業者への対応も、素早くできるのがいいところです。
通常であれば、欠員や休業者が出た時には、求人広告やハローワークを通すなどして対応しなければなりません。
その場合、人員の補充には時間がかかってしまいます。
しかし派遣社員を雇用することで、素早く必要なスキルや経験を持った人員を補充することができます。
またそれだけではなく、長期の病欠や出産・育児・介護など期間限定の休業の場合などの一時的な欠員には、正社員を補充するのは難しいものがあります。
その点契約社員であれば初めから期間を定めての契約になるため、必要な時にだけ人員の補充をすることができるのが大きなメリットといえます。
こちらの「【2022】人材派遣会社8社比較!派遣雇用のメリットと各社特徴を解説」でも解説していますので参考ください。
競争力面から見た人材派遣活用のメリット
業務効率面から見た人材派遣のメリットは下記の3つです。
- 人材確保にかける時間の短縮
- 採用難易度の高さが壁となる職種・業種の人材確保
- 職場環境の見直しのきっかけになる
それぞれどのような点にメリットがあるのか、詳細に解説していきます。
人材確保にかける時間の短縮
会社を拡大したい、そんなときには人材の確保も急務になります。
しかしなかなかすぐに人手を集めるのは難しいものです。
そんな時に派遣を利用することで、必要な人材をすぐに確保することができるでしょう。
また、紹介予定派遣であれば、正社員として直接雇用したいけど募集から採用まで時間をかけていられないというときにもおすすめです。
採用難易度の高さが壁となる職種・業種の人材確保
本来なら直接雇用したい、というときなどでも職種や業種によってはなかなか人材が集まらないこともあります。
とくに不人気な職種や業種であるなら、なおさらです。
また、専門性が高い職種や業種も、そもそも採用が難しいものです。
そんな時に、派遣を利用することで必要な人材を確保することができます。
派遣であれば、ずっと同じ仕事を続けるわけではなく期間限定であるために採用しやすいというメリットがあるからです。
職場環境の見直しのきっかけになる
職場環境の問題点は、自社ではなかなか気づきづらいものです。
社員に聞いたとしても、上司には答えづらいこともあり、はっきりといえる方は少ないでしょう。
そんな時に派遣社員を雇用していると、改善点に気づきやすくなります。
派遣会社はスタッフに定期的にアンケートを取ったりヒアリングをしたりして、その結果は派遣先企業へとフィードバックしてくれます。
ずっと勤務しなければならない自社の社員と違って不満があれば正直に話してくれるため、改善しなければならない点を知ることができるでしょう。
人材派遣を活用するデメリット
人材派遣にはメリットだけでなく、主に下記のようなデメリットもあります。
- 帰属意識が希薄になりやすい
- 契約外の仕事はさせられない
- 法律で禁止の業務がある
メリットばかりを見るのではなく、デメリットも把握しておくことで人材派遣をうまく活用することができるでしょう。
デメリットを一つずつ詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
帰属意識が希薄になりやすい
自社の社員と違って、派遣社員は長く勤務するわけではないのでどうしても帰属意識が希薄になりがちです。
ただし、派遣社員であっても社員と同じくしっかりした意識を持って働いている方もいます。
派遣社員だからと区別することなく接することや、派遣社員に向けた勉強会などをすることで改善できるでしょう。
派遣社員だから帰属意識が薄いだろうと思い込んで接してしまうと、優秀な人材を確保する機会を逃してしまうこともあります。
契約外の仕事はさせられない
派遣社員は、雇用前に交わした契約書にある以外の仕事をさせることはできません。
業務内容は細かく決められているので、柔軟性に欠けるといえます。
そのため業務で確実に発生する仕事だけではなくもしかしたら必要になるかもしれないという仕事まで、細かく契約書に記載しておく必要があります。
法律で禁止の業務がある
仕事の中には法律で派遣には禁止されている業務があるので、注意が必要です。
具体的には、港湾運送業、建設業務、警備業務医療関係業務、弁護士や社会保険労務士などの「士」業務です。
ただし医療関係業務には、派遣が可能となる条件などもあります。細かい条件をきちんと調べて、条件を満たせるようであれば人材派遣を活用してみるのもおすすめです。
派遣社員はそのまま採用が可能なのか
派遣社員を直接雇用することは、基本的にはできません。
しかし中には、紹介予定派遣という派遣形態があります。
紹介予定派遣は、そもそも派遣先企業が正社員として直接雇用をすることが前提になっている派遣契約です。
派遣期間はいわゆる使用期間のようなものであり、この期間に特にミスマッチがなく双方が納得できるのであればそのまま採用することが可能です。
そのため、もし正社員として雇用したいけどすぐに人材を確保するのが難しい、書類選考などを飛ばしてとにかくスムーズに仕事ができる人材を確保したいというときにはぜひ、活用してみてください。
まとめ
人材派遣には、コスト削減や業務効率、競争力などの面で多くのメリットがあります。
もちろんメリットだけがあるというわけではありませんが、デメリットや注意点も詳細を把握して対策すれば問題ではなくなることもあります。
直接雇用することと比べてどれほどのメリットがあるのかをしっかりと把握して、上手に人材派遣を活用してみてください。
人材派遣をうまく活用することで、無駄をなくし効率的に業務を回すことができるでしょう。
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日本において農業分野の人材不足は深刻です。外国人労働者を雇いたいとは思っているものの、過去に採用経験がなく、最初の一歩を踏み出せないという担当者様も多いかもしれません。
採用にあたって特に気になるのは、「農業分野で働ける在留資格にはどのようなものがあるのか?」「外国人労働者を受け入れる際、雇用条件はどのように設定したら良いのか?」という点ではないでしょうか。
「技能実習」は有名ですが、実はそれ以外にも農業分野で働くことができる在留資格があります。
そこで今回は、農業で外国人労働者を雇用する方法から注意点までを細かく解説します。
農業分野で外国人労働者を採用するには?
外国人労働者を雇用するためには、条件について正しく理解しておく必要があります。
外国人は就労可能な在留資格の取得が必要
日本に在住している外国人は、誰でも農業に従事できるわけではありません。該当する「在留資格」を取得している必要があります。在留資格とは、外国人が日本に滞在して就労や身分に基づく活動をするために必要な入管法上の資格です。
農業分野で働ける在留資格とは?
農業分野の就労を可能とする在留資格は複数ありますが、そのなかで割合が多いのは「技能実習」「特定技能」です。
「技能実習」とは、日本で培われた技能や技術をそれぞれの国へ持ち帰って役立ててもらうことを目的とする制度です。最長で5年の在留が可能です。農業分野では比較的よく受入れを行っています。ただし新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨今では技能実習生の新規入国が難しい状態となっています。
「特定技能」とは、2019年4月に創設された在留資格です。業種に関する知識や技能を一定程度有している18歳以上の外国人労働者を、即戦力として受け入れることが可能です。農業分野においては派遣の雇用もできることや、新型コロナウイルス感染拡大の影響で特定技能への在留資格変更者が増えていることから、雇用しやすい状況になっています。
実際、日本で農業に従事する外国人は、どのような在留資格の割合なのでしょうか。その割合をまとめたのが、下記の図です。
図を見ると、農業に従事している外国人労働者のほとんどが「技能実習」の資格に偏っていることがわかります。専門的・技術的分野は「特定技能」の増加により急増し、2021年11月現在も更に増加を続けています。
また、この5年間で農業分野における外国人労働者の数は約2倍に増加しており、今後もこの傾向は続くとみられています。
「特定技能」「技能実習」のほかに、「定住者」「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」という、いわゆる“身分系”の在留資格や留学生のアルバイトでも農業に従事することができます。ただし、身分系の在留資格があれば、違法な仕事以外仕事内容に制限がないため、農業以外の選択肢を選ぶ人も多いです。そのため、身分系の在留資格保有者で農業に従事している人の数はそれほど多くありません。
農業分野で外国人労働者を受け入れるメリット
農業分野で外国人労働者を受け入れるメリットとしてまず挙げられるのは、人手不足の解消が期待できるということでしょう。また、若い労働力が得られることも大きなメリットです。特に、地方では若手の人手不足も厳しい状況になっています。今後、ますます日本で少子高齢化が進めば、農業分野における人手不足はさらに深刻なものになるはずです。そうした地域において、外国人労働者の労働力は、非常に価値あるものになるはずです。
農業分野の補助金・助成金を活用しよう
外国人雇用にあたっては、補助金や助成金を活用することもできます。
補助金や助成金にはさまざまな種類があり、「雇用調整助成金/中小企業緊急雇用安定」のように厚生労働省が用意しているものもあれば、地方自治体が展開しているものもあります。地方自治体の助成金に関しては以下の関連記事で毎月情報を更新しながら自治体ごとに一覧を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
コロナ禍で注目の「特定技能」で雇用する場合
2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、特定技能の在留資格を有した外国人労働者が注目されるようになりました。「特定技能」は「技能実習2号」からの移行が可能で、実習期間を終えてもコロナ禍で帰国できない技能実習生が、特定技能に資格を変更して日本で働き続ける選択肢を選んでいることが一因です。このように、新規入国がなくとも特定技能への変更を希望する外国人が増加しているため、雇用しやすくなっています。
特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類がありますが、現時点(2021年11月現在)では、農業分野においては、特定技能2号はありません。特定技能1号の在留資格があると、最長で5年間就業することができます。※
外国人が特定技能1号の在留資格を得るためには、日常生活に支障がない程度に日本語で会話できること、農業に関して一定の専門技術や知識を有していることが必要です。基準を満たしているかどうかは、「日本語能力試験」および「農業技能測定試験」の結果で判断されます。年齢制限に関しては、日本入国時に18歳以上であることが定められています。
※在留カードを返納し、再度新規入国する場合は在留期間にカウントされません。日本での合計労働期間が5年間までとなります。再入国許可(みなし再入国許可)で出国した場合は、カウントされます。
特定技能の在留資格は単純労働も可能
「特定技能」の在留資格で従事可能な業務は、耕種農業全般および畜産農業全般で、いわゆる「単純労働」も可能です。または、農畜産物の製造・加工および運搬、販売といった作業を行う関連業務に関しても、日本人が通常従事していれば付随的に従事可能です。
ただし、基本的に「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の業務を合わせて行うことはできません。耕種か畜産かのどちらかの業務のみとなります。
特定技能の詳細は以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
また、第6次産業の展開を行う農家が増えているかと思いますが、加工品の製造や販売まで行うケースでは、特定技能「飲食料品製造業」分野の資格で雇用することも可能です。
詳しくは下記の記事で解説していますので、ご覧ください。
企業は特定技能外国人に対して支援義務がある。登録支援機関に委託も可能
特定技能を有した外国人を雇う側には、雇用した外国人労働者を支援することが義務付けられています。支援の内容には、雇用契約時の事前ガイダンスなども含まれているので、採用時にすでに支援をスタートさせていることが必要です。
しかし、農家が個別に支援を行うのは、なかなかハードルが高いかもしれません。その場合は、出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿に登録された「登録支援機関」に委託するとよいでしょう。特定技能の制度については下記の図も参考にしてください。
技能実習修了後、特定技能に移行できる
先述の通り、「技能実習」の在留資格で働いていて実習期間が終了したとしても、「特定技能」に移行すれば、帰国せずそのまま働き続けることが可能です。技能実習から特定技能に移行するためには、「技能実習2号を良好に修了」「技能実習での職種/作業内容と特定技能1号の職種が一致」の要件を満たしている必要があります。「技能実習2号」とは、入国から2年目と3年目の技能の習熟を図るための活動に従事するための在留資格です。
特定技能「農業」は派遣の雇用も可能
農業分野においては、派遣の雇用が認められています。なぜかというと、育てている農作物の品目や地域ごとに繁忙期が異なるため、派遣形態で採用して同一地域または複数産地の異なる農業経営帯で就労してもらうことは、雇う側にとっても助かることだからです。こうした制度が認められているのは、農業のほかに漁業もあります。もし、繁忙期と閑散期が明確に分かれており、「繁忙期だけ手伝ってほしい」という場合は、派遣の雇用も検討してみましょう。
「技能実習」で受け入れる場合
技能実習として外国人を受け入れる場合、在留期間は最長5年となります。外国人が満たすべき要件は、「18歳以上であること」「帰国後に本制度で修得した技術を活かした業務に従事することを予定していること」などであり、特定技能のように、最初から日本語能力や農業に関する知識などは求められていません。実習を通して技術を身に着けていきます。
従事可能な業務範囲は、耕種農業のうち「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」、畜産農業のうち「養豚」「養鶏」「酪農」となります。先述したように耕種と畜産の業務を合わせて行うことはできないので、耕種か畜産かのどちらかの業務のみです。
ただし、農畜産物を使用した製造・加工に関する作業の実習も可能です。
その他の在留資格で雇用する場合
「定住者」「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の“身分系”の在留資格や留学生でも農業に従事することができます。留学生の場合は、別途資格外活動の許可が必須となります。許可を得ているかは在留カードを必ず確認してください。
留学生の雇用は労働時間の上限に注意
在留資格「留学」の雇用は、入管法によって1週間で28時間までと決められています。
学業の妨げにならないよう、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合でも、合計労働時間を28時間以内にしなければなりません。これに違反した場合、留学生自身が1年以下の懲役もしくは禁錮、または200万円以下の罰金を科せられるだけではなく、雇用主や斡旋した人も「不法就労助長罪」に問われ、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられます。
外国人労働者を雇用する際の注意点・問題点
外国人労働者を雇用するにあたって注意すべき点は他にもありますので、ここでは4つ紹介します。
給与の設定に注意。外国人でも最低賃金や同一労働同一賃金は順守
外国人労働者であっても、最低賃金法や同一労働同一賃金は日本人と同じです。日本語でのコミュニケー
文化や宗教、仕事観などの違いを相互に理解する必要がある
文化や宗教、仕事観の違いを尊重しているつもりであっても、どんな違いがあるのかをしっかりと理解できていないと、トラブルに発展することもありえます。たとえば、家族を大事にする国民性なども考慮して帰国休暇を取得しやすくし、母国の家族に会えるようにしてあげることも大切です。
下記の関連記事では一例としてベトナム人の外国人労働者を採用するにあたっての注意点をまとめていますので、ご検討されている方はぜひ参考にしてください。
生活のサポートが必要
技能実習や特定技能において義務付けられている支援の内容は決まっていますが、決められた支援のみしか行っていなければ、人材の定着は難しいでしょう。“支援”と聞くと大変に感じてしまうかもしれませんが、「こちらから積極的に声をかける」「将来の夢や目標を応援する」などもそのひとつです。また、生活に関して困っていることがあるようなら、「どうすれば改善できるか」「自分たちに何ができるか」を一緒に考えることも大切です。
下記関連記事では農家の代表の方へ“支援”についてもインタビューを行っておりますので、ぜひ本記事とあわせてご覧ください。
法就労に注意が必要
不法就労は大きく分けて3パターンあります。
「不法滞在者、被退去強制者の就労」「無許可の就労」「在留資格の範囲を超えた就労」です。
これらに該当する外国人労働者を雇った場合、雇った側も罰せられることになるので注意が必要です。不法就労を行った外国人労働者本人には、「不法入国の罪」や「無許可資格外活動の罪」が適用され、雇った側には「不法就労助長罪」が適用されます。
罰則の詳細や雇う側で企業が特に気を付けるべき点は下記の関連記事にまとめていますのでこちらも参考にしてください。
まとめ:新規入国困難な現在は、特定技能外国人の雇用がおすすめ
このように、農業分野で外国人労働者の雇用を行う場合は複数の在留資格が検討できます。外国人労働者にどのように働いてもらいたいのかによって、在留資格を選ぶのがよいでしょう。
ただ、現在は新型コロナウイルスの影響で外国人の新規入国再開の目途は立っていないため、技能実習生の受入れは難しい状況です。留学生は現在日本国内に残っている人数に限られます。このように現在は国内在住の人材を雇用するしかありません。
ところが、特定技能外国人は、帰国できない技能実習生の在留資格移行が続いており、コロナ禍にも関わらず国内人材の数が増加しています。マイナビグローバルでも、登録支援機関としての支援委託も含めて人材紹介が可能なので、ぜひお気軽にご相談ください。
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2019年4月に新設された在留資格「特定技能」で働く外国人が、転職を希望するケースが徐々に増えてきました。
一方、特定技能外国人を雇用中の企業の担当者からは、特定技能外国人に「転職したいって言われたけど、他社で働けるの?」という疑問の声も聞かれるようになりました。
そこで今回は、特定技能で転職が可能なのか、転職をする場合の要件、企業が行う手続きや注意点について解説していきたいと思います。
また転職の難易度などについても触れていきます。
特定技能外国人の転職は自由。しかしハードルが高い
特定技能外国人の転職は可能ですが、ハードルが高いのが現状です。
これには転職のために在留資格変更許可申請等の手続きが必要、変更許可申請中は働くことができないため収入がなくなってしまう等さまざまな理由があります。
では転職のための要件と手続きについて詳しく見ていきましょう。
特定技能の要件を満たせば転職は可能
特定技能には、外国人の要件と受入れ企業の要件があります。どちらの要件も満たせば、転職は可能です。詳しい要件は、下記の記事を参照してください。
手続きには転職先の協力が不可欠
特定技能外国人は、指定書で指定された活動のみ行うことができます。指定書とは、出入国在留管理局が発行し、パスポートに添付される紙のことです。指定書には、企業名や特定技能の分野、従事する業務区分などが記載されていますので、その企業であらかじめ決められた業務しかできません。
そのため、転職する場合は、転職先の受入れ企業(以下、新受入れ企業と表現します。)の協力を得て、在留資格変更許可申請を改めて行う必要があります。
再度、出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請を行うことで、新しい在留カードと指定書が発行され、別の会社で働くことが可能です。
転職先で在留資格変更許可申請を行う際には、新受入れ企業が要件を満たしているかの審査が行われます。そのため、転職先の企業に多くの書類を準備してもらったり、母国語で毎月支援を行うことができる体制を整えてもらったりするなど、協力が不可欠です。
在留資格変更許可申請中は、他社でアルバイトができない
また、もし前職を辞めてしまった場合、特定技能への在留資格変更許可申請中は他社でアルバイトができません。先ほどもお伝えした通り、指定書に記載されている企業、分野、業務区分でしか働けないためです。
そのため、在留資格変更許可が下りるタイミングを想定して、前職の退職日を調整するか、十分な貯金を確保しておく必要があり、転職のハードルが高くなります。
新しく特定技能外国人を受け入れる企業側も、本人の在留資格変更許可が下りるまでは雇用することができないため、注意が必要です。
技能実習から特定技能への移行の際に転職をすることも可能
技能実習2号を修了してからステップアップとして特定技能に移行する外国人も多くいます。その際に、転職をすることはもちろん可能です。
ただし、技能実習期間を修了し、技能検定3級又は技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格しないと、そもそも特定技能に移行ができませんので、技能実習先や監理団体とのスケジュール調整が必要です。
技能実習「介護」から特定技能「介護」への移行も開始。転職も増える可能性大
2017年に外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加され、近年第2号技能実習を良好に修了し、特定技能「介護」に移行できる方が増えてきました。人手不足が深刻で採用のニーズが高いため、よりよい環境を求めて転職が増えると考えられます。また、病院や児童発達支援、就労継続支援、特別養護老人ホームなど幅広い企業で特定技能「介護」の外国人の採用ができますので、今後さらに転職が増える可能性が高いです。
特定技能「介護」については、こちらも参照してください。
転職可能な業種
先ほどもお伝えしたように、特定技能には、外国人の要件と受入れ企業の要件がありますので、どちらの要件も満たさないと、転職はできません。
外国人材側が満たすべき要件
外国人の要件のひとつに、「分野別の技能試験に合格すること」がありますが、同じ業種で転職をする場合には、再度試験を受ける必要はありません。例えば、飲食店で働いている外国人が別の飲食店に転職する場合には、再度試験を受ける必要はなく、基本的には受入れ企業の要件を満たせば転職が可能になります。ただし、この場合も、在留資格変更許可申請は必要です。
もしこれまでとは異なる業種に転職したい場合は、就労予定の分野の技能試験に合格すれば可能です。同じ分野であっても、業種が異なる場合には、その業種の試験に合格しなければなりません。つまり、建設分野(土工)で働いている外国人が、建設分野(鉄筋施工)で働くためには、鉄筋施工の技能試験に合格することが必要です。
ただ、技能試験は開催されていない業種もあり、開催されていても実施場所や日程が限られていることが多いため、受験が必要な外国人材を特定技能で採用したい場合は注意が必要です。
受入れ企業側が満たすべき要件
受入れ企業としては、どの業務内容に従事させれば外国人材側は要件を満たすか、どの試験の合格や技能実習の修了が必要か、そもそも特定技能で認められている14分野の産業分類に当てはまっているかどうかについて、あらかじめ確認しましょう。
例えば、外国人が技能実習2号で「とび」の作業を修了している場合、「建設(とび)」の特定技能に移行でき、雇用する会社も「とび」の業務区分に沿った業務を行っている必要があります。
また、飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験に合格した外国人の場合は、その外国人を従事させる事業所が、「食料品製造業」など該当する産業分類に該当する必要があります。
詳細は、分野別の運用要領をご確認ください。
特定技能の転職手続き
特定技能の転職に伴う手続きとしては、「旧受入れ企業が行う手続き」、「外国人が行う手続き」、「新受入れ企業が行う手続き」の3つがあります。
旧受入れ企業が行う手続き
新受入れ企業だけでなく、前職の企業(以下、旧受入れ企業と表現します。)も、特定技能外国人の退職にあたり必要な手続きがあります。
「特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出」及び「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」を、出入国在留管理庁電子届出システム、もしくは旧受入れ企業の本店を管轄する出入国在留管理局に提出する必要があります。
退職日が確定した時点で、「特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出」を提出し、退職後14日以内に「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」を提出するのがスムーズです。
詳しい必要書類は、下記を参照ください。
▶特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出|出入国在留管理庁
▶特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出|出入国在留管理庁
また、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」が必要になります。詳しくは最寄りの都道府県労働局、ハローワーク(公共職業安定所)のほか、外国人雇用サービスセンターへお問い合わせください。
外国人が行う手続き
在留資格変更許可申請を再度行う必要があります。
主に、外国人本人の書類と、新受入れ企業の書類、分野別の書類に分けられます。外国人本人の書類としては、健康診断個人票、住民税の課税証明書・納税証明書、源泉徴収票、技能試験の合格証などが挙げられます。新受入れ企業の書類、分野別の書類については、新受入れ企業に準備をお願いする必要があります。
詳しい必要書類は、下記出入国在留管理局のHPを参照ください。
新受入れ企業が行う手続き
在留資格変更許可申請の申請人は外国人ですが、新受入れ企業が準備する必要書類が多数あります。
例えば、雇用条件書、特定技能外国人の支援計画書、納税証明書、健康保険・厚生年金保険料領収証、役員の住民票などです。
これらの書類を元に、新受入れ企業が日本人と同などの給与を支払う予定か、社会保険料や税金を支払っているか、母国語で支援ができる体制が整っているか、過去に行方不明者を出していないかなど、かなり細かく審査が行われます。
母国語で支援できる体制が整っていない場合は、登録支援機関が代わりに対応することも可能です。
在留資格変更許可後は、特定技能所属機関として、四半期に1回の定期の届出と、契約の変更時などの随時の届出が必要になります。詳しい必要書類は、下記出入国在留管理局のHPを参照ください。
また、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」が必要になります。詳しくは最寄りの都道府県労働局、ハローワーク(公共職業安定所)のほか、外国人雇用サービスセンターへお問い合わせください。
また、下記の記事でも詳しくご紹介しています。
転職について企業が注意すべきこと
特定技能外国人の転職は自由ではありますが、特定技能外国人をすでに雇用している企業にとって退職はなるべく防ぎたいところです。雇用する際には、特定技能外国人への支援の1つとして求められている、事前ガイダンスや生活オリエンテーションを丁寧に行うことで、業務内容や雇用条件を理解して納得してもらい、雇用することをおすすめします。入社後のミスマッチによる退職が起こりにくくなります。
また、自社での支援が難しい場合は、登録支援機関に委託し、第三者の立場から支援をしてもらうことも可能です。マイナビグローバルも、登録支援機関として特定技能外国人になるべく長く働いてもらえるようにサポートしています。
まとめ
特定技能外国人の転職は可能ですが、転職先の業種が限られている、新受入れ企業の協力が必要など、ハードルが高いのが現状です。
受入れ企業としては、雇用した特定技能外国人になるべく長く働いてもらい、活躍してもらえるようにしっかり体制を整え、特定技能外国人と受入れ企業が良い関係性を築いていけるといいですね。
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特定技能には14業種ありますが、それらの中から今回は「産業機械製造業」を解説します。また、外国人材を採用するために知っておきたい試験制度や在留資格についても説明します。
特定技能「産業機械製造業」とは?
現在、日本では少子高齢化の影響により、さまざまな業界で人材不足が進んでいます。この問題を解決するため、2019年、政府は特定技能の在留資格を新設しました。特定技能の在留資格が認められているのは14業種です。「産業機械製造業」もそのひとつです。
「産業機械」とは、工場や事務所内で利用される機械全般のことです。一例として、建設機械や農業機械、工業機械が挙げられます。
つまり「産業機械製造」とは、そうした機械を作る産業を指し、日本の製造業を支えるために不可欠な業界であり、日本の社会インフラを整備するにも、重要な役割を担っています。
特定技能「産業機械製造業」は1号のみ
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、外国人材が保持する技能レベルに応じて、1号と2号に分けられます。しかし、14業種ある特定技能のうち、特定技能1号と2号の両方がある業種は、「建築業」と「造船・船用工業」の2業種のみです(2021年8月現在)。産業機械製造業については「特定技能1号」のみ、認められています。
在留資格認定証明書の交付を一時停止中 ※2022年4月時点
産業機械製造業分野における特定技能1号外国人数が、2022年2月末現在で5,400人(速報値)となり、受入れ見込数である5,250人を超える状況となったことから、在留資格認定証明書交付の一時停止することとなりました。特定技能1号への在留資格の変更、在留期間の更新については、要件を満たしていれば許可がおります。
▶特定技能「産業機械製造業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置等について|出入国在留管理庁
特定技能が創設された背景
日本では、世界に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。それにより、人材不足はますます深刻化しています。日本商工会議所と東京商工会議所が2018年度に行った調査によれば、人員が「不足している」と回答した企業は、対象企業の66.4%でした。また、東京商工リサーチの調べによると、2020年度上半期(4-9月)に人手不足が関連して倒産した企業は、215件、前年同期比と比べると4.8%増でした。
さまざまな業界で人手不足が見られますが、なかでも産業機械製造業の現状は深刻です。工作機械やロボットなどの産業機械に対する需要が高まっているにも関わらず、平成29年度の産業機械製造業に関連する職業分類における有効求人倍率は、2.89倍。今後も人材不足はさらに進み、経済産業省は、産業機械製造業における人手不足の見込み数は、2023年までに7万5,000人になると予測されています。
こうした事態を打破する一手として、政府は新しい在留資格「特定技能」を定めることにより、外国人技術者の受け入れを可能にしたのです。
特定技能についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
特定技能「産業機械製造業」で外国人材が行うことのできる業務
特定技能「産業機械製造業」では、次のとおり、18 の業務を行うことができます。
- 鋳造:金属を型に流し込み製品を製造する
- 鍛造:金属を打撃・加圧することで強度を高めたり、目的の形状にしたりする
- ダイカスト:溶融金属を金型に圧入して高い精度の鋳物を短時間で大量に生産する
- 機械加工:旋盤、フライス盤、ボール盤等の各種工作機械や切削工具を用いて金属材料等を加工する
- 金属プレス加工:金型を用いて金属材料にプレス機械で荷重を加えて、曲げ、成形、絞り等を行い成形する
- 鉄工:鉄鋼材の加工、取付け、組立てを行う
- 工場板金:各種工業製品に使われる金属薄板の加工・組立てを行う
- めっき:腐食防止等のため金属等の材料表面に薄い金属を被覆する
- 仕上げ:手工具や工作機械により部品を加工・調整し、精度を高め、部品の仕上げ及び組立てを行う
- 機械検査:各種測定機器等を用いて機械部品の検査を行う
- 機械保全:工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持し保全する
- 電子機器組立て:電子機器の組立て及びこれに伴う修理を行う
- 電気機器組立て:電気機器の組立てや、それに伴う電気系やメカニズム系の調整や検査を行う
- プリント配線板製造:半導体等の電子部品を配列・接続するためのプリント配線板を製造する
- プラスチック成形:プラスチックへ熱と圧力を加える又は冷却することにより所定の形に成形する
- 塗装:塗料を用いて被塗装物を塗膜で覆う
- 溶接:熱又は圧力若しくはその両者を加え、部材を接合する
- 工業包装:工業製品を輸送用に包装する
特定技能1号「産業機械製造業」を取得するには?
外国人材が特定技能1号「産業機械製造業」を取得するには、二つの方法があります。一つ目は、「産業機械製造業分野の特定技能1号評価試験」と日本語検定に合格して資格を取得するという方法です。
二つ目は、「産業機械製造業」分野の技能実習2号から移行する方法です。
「産業機械製造業」分野特定技能1号評価試験に合格する
特定技能1号「産業機械製造業」を取得する一つ目の方法は、「産業機械製造業」分野特定技能1号評価試験に合格する、というものです。
産業機械製造業だけではなく、在留資格「特定技能」を取得するには、特定技能14業種がそれぞれ独自に定めた「特定技能評価試験」に合格する必要があります。
「産業機械製造業」の場合は、経済産業省の定める「製造分野特定技能1号評価試験」に合格しなければなりません。
さらに、日本での労働に必要な日本語水準を満たしていることを証明するため、規定の日本語試験に合格する必要があります。
特定技能試験については後ほど詳しく説明します。
「産業機械製造業」分野の技能実習2号からの移行
外国人材が特定技能1号「産業機械製造業」を取得するための、二つ目の方法は、「産業機械製造業分野の技能実習2号から移行する」というものです。
「技能実習2号」とは、1993年に導入された「技能実習」ならびに「研修」制度です。新設された「特定技能」の制度が整備されたことにより、外国人材は「技能実習生」から「特定技能」へ移行できるようになりました。これにより、これまで日本に滞在していた技能実習生は、在留資格「特定技能」を得ることで、追加で最長5年間、日本に滞在できるようになります。また、「産業機械製造業」分野の特定技能1号評価試験は免除されます。
下記に挙げた技能実習の職種は、試験なしで特定技能1号『産業機械製造業分野』へ移行できます。
「産業機械製造業」分野特定技能1号評価試験とは?
外国人材が特定技能1号「産業機械製造業」を取得するには、「技能測定」と「日本語」の、二つの試験で一定の成績をおさめる必要があります。
ここでは「産業機械製造業」の特定技能試験について解説します。特定技能試験の制度や受験資格などについては、こちらの記事で紹介しています。
「産業機械製造業」分野特定技能1号評価試験
「産業機械製造業分野特定技能1号評価試験」は、受験者が技能水準を満たしているかを評価する技能試験です。
特定技能1号「産業機械製造業」を取得するには、経済産業省が行う試験に合格しなければなりません。
技能試験 「製造分野特定技能1号評価試験」
実施場所 | 2019年度は、インドネシアで実施(2020年度は国内でも実施予定) |
試験言語 | 主に現地語 |
実施方法 | 学科試験、実技試験 |
試験区分 | 19試験区分(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、 工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、 電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、 塗装、溶接、工業包装) ※レベルは技能検定3級相当(技能実習2号修了相当) |
試験の日程や試験の実施状況はこちらの記事でまとめています。参考にご覧ください。
日本語試験に合格する
特定技能1号「産業機械製造業」の特定技能資格を取得するには、日本での就業や生活が可能な日本語能力を持っているかを確認する必要があります。そのため、日本語能力試験JLPTのN4以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テストに合格しなければなりません。
「日本語能力試験」
日本語能力試験のレベルは5段階。基礎のN5から幅広い場面で使われる日本語のN1までがあります。「産業機械製造業」分野の特定技能資格取得に際し、「日本語能力試験」を活用する場合は、N4以上が必要です。N4は、「基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる」「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」というレベルです。試験は通常、年2回開催されます。
「国際交流基金日本語基礎テスト」
日本の生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定するテストです。試験は通常、年5回開催されます。
特定技能「産業機械製造業」の外国人材を採用するには?
特定技能「産業機械製造業」資格を持った外国人材の採用を検討している企業は、どうすれば受け入れることができるのでしょうか。
特定技能外国人を雇用する企業を、「特定技能所属機関(受入機関)」と呼びます。産業機械製造業で特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関(受入機関)は、以下3つの条件をすべて満たす必要があります。
1、事業所が以下の日本標準産業分類に該当している
特定技能「産業機械製造業」の外国人材を採用する事業者は、下記の日本標準産業分類に該当している必要があります。
2、支援体制の義務を果たす
特定技能所属機関(受入機関)が特定技能1号外国人を雇用するためには、「事前ガイダンスの提供」「日本語学習の機会の提供」など、各種支援を行うことが義務付けられています。
ただし、受入機関はこの支援業務を「登録支援機関に委託する」ことができます。登録支援機関の詳細は、下記の記事で紹介していますので、ご覧ください。
3、産業機械製造業分野特定技能協議会への加入
特定技能所属機関(受入機関)は、経済産業省が組織する「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入する必要があります。これは、経済産業省、法務省、地方自治体と、素形材産業分野・産業機械製造業分野・電気・電子情報関連産業分野の、いわゆる「製造業3分野」によって構成される組織のことです。協議・連絡会では、以下の活動により、構成員の連携強化や事業者の情報把握などを行います。
注意すべきポイントは、外国人材の受け入れ前に協議・連絡会への加入しなければならないことです。他分野では原則、初回受け入れ開始後の加入で問題ないため、間違えないようにしましょう。
また、2021年10月現在、加入手続きが混みあっており、3~4か月程度の期間を要します。早めの手続きがおすすめです。
【活動内容】
- 特定技能「産業機械製造業」の外国人を受け入れる制度の趣旨や優良事例の周知
- 特定技能所属機関等に対して法令遵守の啓発を行う
- 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報把握及び分析
- 地域別の人手不足の状況の把握及び分析
- 特定技能外国人受入れに必要なその他の情報・課題等の共有・協議
まとめ
古くから「モノづくり」が盛んな日本において、産業機械製造業はいわば「縁の下の力持ち」といえる産業です。少子化や高齢化の影響により、このまま人材不足が進めば、日本のさまざまな産業は衰退し、国際的な競争力を失ってしまうかもしれません。日本の未来のためにも、特定技能「産業機械製造業」の外国人材の採用を検討してみてはいかがでしょうか。