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【外国人面接の注意点】内定辞退・入社辞退を防ぐポイント
少子高齢化による労働人口減少によって、日本ではすでに労働力の取り合いが始まっています。インターネットやSNSの発展で、今まで公にされてこなかった、会社の良い口コミも悪い口コミも簡単に出回る時代になりました。職選びの判断材料や選択肢が増えたことで、労働市場から「選ばれる企業」と「選ばれない企業」の2極化が進んでいます。そのような中、外国人の面接を担当する人事の方からよくあがる声は下記の通りです。
- 外国人との面接がうまくいかない
- 入社意欲を高める面接フォローをしたい
- 内定辞退・入社辞退されないポイントを知りたい
最終面接が終わってもなお、候補者は様々な情報にアクセスできるので、詰めが甘いと内定・入社を辞退される可能性もあります。本記事では、外国人候補者が実際に内定辞退・入社辞退した時の真の理由を取り上げ、面接を候補者の「見極め」の場だけでなく、「入社意欲を高める」場とするポイントをご紹介します。
面接官の役割
面接官の役割は「見極め」と「動機付け」の2つにわけられます。「見極め」とは要件に沿って候補者を選別すること、「動機付け」とは候補者に自社の魅力を理解させ、入社へと導くことです。実際、多くの企業が「見極め」の側面のみ注目する傾向があります。広辞苑で「面接」の意味を調べると、「直接その人に会うこと」や「人柄や能力を知るために、その人に直接会って試問・助言などをすること」といった意味が出てきます。「助言」という要素があることからわかるように、本来ならば、「動機付け」にも焦点が当てられるべきです。同じくよく使われる言葉に「選考」がありますが、「はかりしらべること。当否、適不適、能力の有無などをしらべること。人物、才能を審査すること」という意味です。そちらの意味合いが世間により広く受け止められているようです。
外国人面接の注意点・内定/入社辞退の理由
外国人の内定・入社辞退の理由は時として日本人の想像をはるかに超えています。例えば、配偶者の帰国に合わせて海外の大学院試験を受け、合否判定を待っていることを隠しながら就職活動をしていた人や、日本で就職活動をしていたが交際相手と破局の末に帰国することにした人など、日本人が思いつかないような内定・入社辞退理由が様々あります。そのような珍しいケースはさておき、いずれにせよ、どんなに良い候補者と出会えたとしても「動機付け」ができていないと辞退されてしまいます。次からは、よくある辞退理由をご紹介します。
【面接中】 面接中に会社のイメージが悪くなったから
原因は様々あり、面接官の態度、身なり、差別的発言、職場の雰囲気などです。外国人候補者の中には、日本の就職事情に不慣れな場合や、仕事や働くことそのものへのスタンスが日本人とは異なる場合があるので、日本人と同様の対応をすると思わぬ方向へ結論を導いてしまいかねません。面接官が外国人なら大丈夫かと言われると、それも安心とは言えません。たしかに言語面では安心して任せられるかもしれませんが、外国人同士という親近感や偏見など、個人の好き嫌いで合否を判断してしまうケースがみられます(例:自分と同郷のアメリカ●●州出身だから気が合うに違いないなど)。しかも、担当面接官が将来、異動や退職する可能性もあるので、合格者と同じ職場で働くとは限りません。担当面接官と同じ職場であるかに関わらず、受入企業で活躍・定着する人材を採用するべきです。面接官個々の価値観に基づいた発言が思いもよらず企業イメージや候補者の入社意欲を下げてしまう危険がある他、長期的にみた定着率も心配になります。
【内定直後】求人票内容と面接後に口頭で聞いた仕事内容に相違があったから
海外では日本のような総合職採用はなく、ポジション別採用が基本です。そのため、採用時に取り決めた業務範囲から外れる業務には従事しないのが当たり前であり、それはさせることは相手を冒涜しているとすら捉えられます。このように、決められた業務範囲にコミットする働き方はピラミッド型と表現されます。一方、日本では業務範囲が曖昧で、状況に応じて助け合う働き方が推奨されています。形がはっきりしていないことからアメーバ型と表現されます。日本では仮に求人票に明示されていなかった仕事を指示されても、そこまで大きな問題には発展しませんが、外国人の多くはとてもシビアに捉えます。採用段階で仕事内容を曖昧にしてしまうと、面接時や入社後に思わぬトラブルを招くことになります。
【入社直前】他社から好条件のオファーをもらえたから
内定後も職探しを継続する理由はいくつか考えられますが、2つ取り上げます。1つ目は、内定・入社の実感があまりわいていないケースです。最近は選考のほとんどがオンラインで実施される企業もあります。そうすると、企業と候補者が直接的な接点を持ちづらく、内定・入社の実感を得られない傾向が増えています。企業からのコミュニケーションが少ないと、入社を歓迎されていないなど候補者が不安になる可能性もあります。
2つ目は、文化・コミュニケーションスタイルの違いです。例えば、日本人の考え方は集団主義寄り、欧米圏の外国人は個人主義寄りと言われます。集団主義寄りの日本人候補者は集団の調和を尊重し、失礼のないように振る舞おうとするので、内定辞退や入社辞退に対して「せっかく内定をもらったのに申し訳ない」という感情を持つ人もいるでしょう。一方、個人主義においては、集団よりも個人の意見が尊重されるので、自分の心の内を語る人こそ誠実な人と考えます。したがって、内定辞退や入社辞退に対して遠慮の気持ちはほとんど見られず、日本企業の採用人事からするととても薄情に映ることもあります。
また、コミュニケーションのスタイルも異なります。コミュニケーションはハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の2つに分類されます。各国どちらの文化に属するか、その程度はまちまちですが、日本と海外諸国を比較すると、日本は極端なハイコンテクスト文化だと捉えて差し支えないでしょう。日本のハイコンテクスト文化では、コミュニケーションは「受信者」の責任という考え方が一般的です。1を聞いて1しかわからない人は勘所が悪い人と見なされます。一方、日本以外のローコンテクスト文化では、コミュニケーションは「発信者」の責任です。1しか聞かなければ1しかわからないのが当然であり、「説明していないあなたの責任」だと思われます。この考え方がそろっていないと、コミュニケーションでのずれが多発する可能性があります。したがって、内定が出れば、企業側の心の内を察して、言わずもがな前向きに入社を検討してくれるだろうといった、日本人候補者と同様の期待を外国人候補者に抱くと失敗します。
内定辞退・入社辞退を防ぐ対策例
次からは、入社意欲を高めて、内定辞退・入社辞退を防ぐ対策例をご紹介します。
面接官を事前にトレーニングする
面接官は人事担当者だけでなく、現場社員や経営層も関与することがありますが、面接官個人の価値観に基づいた発言や態度は時として企業イメージにダメージを与えることがあります。そこで、関わる全ての面接官が採用目的および採用条件について共通認識を持てるよう面接官向けのハンドブックをつくるとよいでしょう。尚、情報量が多すぎると混乱をきたすので、「熱い」や「わくわく」など、 出来るだけ直感的でわかりやすい表現を心がけると、共通認識としてイメージしやすくなるでしょう。
面接に会社紹介の時間を入れる
面接時に会社説明の時間を設け、どのような企業イメージを持ったか、会社に何を期待しているかなど、候補者から率直な意見を聞き出してみましょう。誤解が見つかればその場で直ちに修正できるので、早めに手を打てます。また、外国人社員がいれば、説明員をさせるのも手です。言語の壁がない分、本音で話しやすくなります。なお、価値観をすり合わせる際は、候補者が大切にしている組織に所属する魅力要因(4P)を重点的に確認すると効果的です。企業のミッションと候補者の達成したいことを接続できると、入社に対する納得感や入社意欲が高まります。4Pの中の「目標の魅力」と「人材の魅力」を例に、確認に使える質問例を紹介します。
※組織に所属する魅力要因(4P)とは?
弊リンクアンドモチベーショングループが社会心理学等をもとに、人が組織に所属する魅力要因を整理したフレームワークです。企業に所属する理由は国籍に関係なく一人ひとり異なります。例えば、「このチームが好きだから」「〇〇さんと働けるから」のように、人員構成は組織に所属する魅力の1つです。このように人が企業に所属する理由は給与や条件面だけではありません。このフレームワークを活用すれば、外国人候補者・内定者にとって企業に所属する魅力・意味を見える化しやすくなり、入社前の時点から企業と外国人候補者・内定者のエンゲージメントを維持・強化できます。
目標の魅力
(候補者)園訓「創造工夫できる子どもを育てる」に共感。とにかくこどもの自由な発想を尊重したい。
→どのように子ども達の自由な発想を引き出したいですか(補足説明の例:自由といっても完全な放置や自己流だめ。園のやり方に則って子どもたちと接することが出来るかを大切にしています。)