少子高齢化や労働力人口の減少が進んでいる事もあり、今後ますます人手不足が進むと言われております。特に日本では顕著でしょう。
そんな状況を改善させる為に、外国人労働者の受け入れを検討している採用担当、経営者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、どのように外国人労働者を受け入れればいいのか、受け入れに際しどのような問題点が起きる可能性があるのか、など分からない点も多いことかと思います。
そこでこの記事では、外国人労働者を受け入れる際のメリットや注意点、方法、成功事例などを解説していきます。ぜひ参考にしてください。
▼日本で雇用できる外国人の特長(ビザの比較など)を分かりやすくまとめた資料です。
よろしければ、外国人雇用にお役立てください。
目次
日本における外国人労働者の現状
外国人の採用ニーズは高まっている
厚生労働省における令和元年10月発表の「外国人雇用状況」の届出状況によると、外国人労働者数は約166万人で、届出義務化以降、過去最高を更新し続けています。
出典:厚生労働省
増加の要因としては、
- 政府が推進している高度外国人材や留学生の受入れが進んでいること
- 雇用情勢の改善が着実に進み、「永住者」や「日本人の配偶者」等の身分に基づく在留資格の方々の就労が進んでいること
- 技能実習制度の活用により技能実習生の受入れが進んでいること
などが考えられています。また、近年では日本を訪れる外国人観光客のインバウンド需要が拡大しており、その際の外国人観光客に対応する為に、外国人を採用する企業も増えているようです。
更に、近年のITテクノロジーの発展によりITエンジニアの需要も高まってきています。エンジニアは引く手数多という事もあり、日本国内で優秀なITエンジニアを確保するのは難しい状態です。そこで外国人のITエンジニアを積極的に採用しているようです。
国籍別の割合
出典:厚生労働省
- 中国 418,327 人 (全体の 25.2%) [前年同期比 7.5%増]
- ベトナム 401,326 人 (同 24.2%) [前年同期比 26.7%増]
- フィリピン 179,685 人 (同 10.8%) [前年同期比 9.6%増]
と中国が最も多く、次いでベトナム、フィリピンとなっております。ちなみに増加率としてはベトナムが最も多く、前年同期比 26.7%増、次いでインドネシアが前年同期比 23.4%増と、東南アジアの増加率が目立っています。
新たに始まった外国人労働者の受け入れ制度とは
2019年4月1日から、特定技能という新しい在留資格制度が始まりました。外国人労働者は「特定技能1号」または「特定技能2号」の在留資格を持って日本で働くことができます。
日本にはその在留資格が27種類あり、そのうち働くことができる在留資格は17種類あります。簡単に言えば、「それをもっと増やしましょう」というのが今回新しく始まった施策です。
この特定技能について解説していきましょう。
特定技能1号と特定技能2号の違い
特定技能1号と2号の違いを一言で説明すると、1号と比べ2号の方が難易度が高いという事になります。2号の方がよりハイレベルな日本語や技能を求められるので、外国人からすると取得難易度が高くなります。詳しい違いをみていきましょう。
特定技能 | 1号 | 2号 |
---|---|---|
在留可能期間 | 5年 | 上限なし |
必要とされる技能 | ある程度 | 熟練された技能 |
日本語能力 | 日常会話 業務上必要な日本語能力 |
なし |
取得可能職種 | 介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、航空業、宿泊業 …etc(全14業種) | 建設業、造船舶用工業 |
以上が1号と2号の基本的な違いですが、これ以外にも
- 1号は家族を連れてこられないが、2号は家族へも在留資格が付与される
- 1号は育成と訓練は必要なし。2号は長年の実務経験を必要とされる
といった違いもあります。ただ、2020年7月現在、この2号を取得したいという外国人の志願者が少なく、うまく進んでいないというのが現状です。
特定技能の制度や注意点についてさらに詳しくは、以下の記事をご覧ください。
特定技能と技能実習の違い
似たような資格として「技能実習ビザ」という資格があり、これと上記の特定技能ビザを混同してしまっている人もいますが、これら二つのビザは全くの別物です。違いは以下の通りです。
技能実習 | 特定技能 | |
目的 | 外国人への研修 | 人手不足解消の為の人材獲得 |
在留可能期間 | 5~10年 | ・1号→5年 ・2号→10年 |
職種 | 80種類 | 14種類 |
転職 | 不可 | 可 |
家族帯同 | 不 | ・1号→不可 ・2号→可 |
管理団体・送り団体 | あり | なし |
受け入れ国 | 制限なし | 15ヵ国 |
このように、技能実習と特定技能は、目的からその他の条件まで全く別の物なので覚えておくといいでしょう。
技能実習生は特に建設業界で注目されています。さらに詳しくは以下の記事にてご紹介しております。
技能実習生を受け入れるのにどのくらいの費用が必要なのでしょうか。一般的な団体監理型で技能実習生を受け入れた場合の費用について、ご紹介します。
技能実習生を受け入れる際にかかる費用をまるっと解説
外国人労働者を受け入れるメリット
外国人労働者受け入れの現状や、資格についての理解ができたところで、実際に外国人を受け入れる事でどのようなメリットがあるのかをみていきましょう。
人材不足の解消・若い人材の確保
最も大きなメリットは若い人材の確保ができることでしょう。超少子高齢化社会の今、若い人材を獲得する事は非常に難しくなっています。
日本にいる若い外国人は優秀な人材が多い為、うまく採用していければ人材不足を解消する事ができるでしょう。特に新卒のエンジニアに関しては、海外から採用している企業が増えてきています。
社内グローバル化による新たな発見
外国人労働者の方々は、母国語に加え日本語や英語など、3ヶ国語以上話せる事も珍しくありません。その為、海外のお客様との対応や接客、通訳など様々な場面で活躍が期待できます。
またそれだけでなく、そのような人材が社内に入る事によって、その国特有の知識や技術などを取り入れることができたり、英語を公用語にしたりと、企業文化や技術、事業領域が発展する可能性もあります。
海外進出の足掛かりができる
外国人を採用する事によりビジネスで対応できる言語が多様化し、販路の拡大も期待できます。これまでに想定していなかった国へのビジネス機会をもたらすきっかけになるかもしれません。
新しいアイディア創出の可能性
日本人とは違う文化、環境で育っているからこそ、新しい目線や斬新な発想で新しいアイディアの創出が生まれる可能性もあります。
雇用する外国人の人脈によってはこれまでとは全く別の販路が見つかる可能性もあるでしょう。
外国人労働者を受け入れるデメリット
もちろん、外国人労働者を受け入れる際には注意点もあります。デメリットもきちんと把握しておきましょう。
コミュニケーション問題や文化の違い
採用する外国人の言語レベルにもよりますが、少なからずコミュニケーションが円滑に進まない問題は起こりえます。
また、文化や習慣の違いから思わぬトラブルが発生する可能性も否めません。日本では良い行いとされる事が、海外では悪い行いだと捉えられてしまう可能性がありますし、またその逆も然りです。
文化の違いを正しく理解し、自分の価値観を押しつけず柔軟に、そして相手を尊重して対応する必要があるでしょう。
就労ビザの資格取得時間
外国人を採用する際には、就労ビザを取得する必要があります。就労ビザを取得する期間は申請の流れによって多少変わりますが、およそ1ヶ月〜3ヶ月程度の期間が必要です。(※詳しくは事項の「外国人を採用する流れや手続き」で解説致します。)
また、職種や業種によっては就労ビザを取得できない可能性もあるので事前に確認しておく必要があります。
こちらの記事では外国人の採用・雇用に関する基礎知識をまとめています。事前知識としてぜひお役立てください。
外国人採用に失敗しないための基礎知識と、安心して外国人を採用するための「外国人人材紹介会社」の選び方を解説します。
【失敗しない外国人の採用・雇用】必要な基礎知識や外国人人材紹介会社の選び方をまとめて解説
労務管理の知識や実践も必要
例えば、外国人労働者を常時10人以上雇用する場合は、「外国人労働者雇用管理責任者」の選任が必要になります。
また、
- 「短期滞在」や「留学」などの就労が認められない在留資格の外国人が就労した場合
- 入国の許可を受けていない者や在留期限を過ぎた者が就労した場合
といったケースは、「不法就労」となり、不法就労外国人を雇用した事業主は、入管法73条2項により、3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金に処せられます。
このように、労務管理の知識や実践が必要になるので注意しましょう。
外国人労働者の受け入れ問題とは
ここまで外国人労働者を受け入れるメリットや方法について解説してきましたが、外国人労働者の急造により、現在国内では社会的に問題となっている点がいくつかあります。
今後外国人労働者を受け入れるようと考えているのであれば、現状の問題点も認識しておく必要があります。受け入れ企業側が責任を追いかねないケースもあるので、しっかりチェックしておきましょう。
安価な労働力としての認識
近年、日本国内で働いている外国人労働者は、高度な技術や知識をもつ優秀な人材として認識され始めていますが、未だに「安価に雇用でき、労働環境が多少悪くても、働いてもらえる労働力」として認識している企業も少なくありません。
様々な法制度によって改善されてきてはいますが、まだ不十分と言えます。根本的に解決する為には法制度のみならず、日本企業各自が外国人労働者に対しての認識を改める、また共通の理解を持つことが必要とされるでしょう。
昔と違い、平均賃金の高い国は増えてきている事もあり、「安く雇おう」という安易な考えでは、外国人は他の国で働くことを選択してしまうはずです。当たり前ですが、日本人と同様の労働条件、給料水準で雇用する必要がありますね。
労働環境の問題
賃金以外でも、受け入れ態勢が整っていないという現状もあります。
ただでさえ、慣れない土地で生活しながら働かなければならない為、相当なストレスがかかっているはずですよね。更にそこに長時間労働の他、差別やいじめ、パワハラなども問題として上がっており、問題となっています。
外国人にとって働きやすい労働環境を作り上げなければ、より多くの外国人労働者が日本で活躍することはできないでしょう。
日本人との生活格差の拡大
上記に通ずる話ですが、法定の範囲内であったとしても、外国人労働者への賃金設定が低いという現状が続いているのが現状です。
賃金が低ければ生活の環境が悪化するのはもちろんのこと、格差を埋めるための社会保障の整備などでコストが肥大していく可能性もあるでしょう。
外国人労働者を受け入れる方法
では、実際に外国人労働者を受け入れる際の具体的な方法や必要手続きなどをみていきましょう。
大まかな手順としては、以下の通りとなります。
- ステップ1.就労ビザ取得の見込み調査
- ステップ2.内定→雇用契約書作成
- ステップ3.就労ビザの申請
- ステップ4.就労ビザの審査
- ステップ5.雇用開始
まとめ
いかがでしたか?今回は外国人労働者の受け入れにおける注意点やメリット、方法、その他社会的に指摘されている問題点などを紹介しました。
今後、ますます少子高齢化社会が進む事が予想される今、若くて優秀な人材を確保するには外国人採用を検討していく必要があります。
当社ウィルオブ・ワークでも、優秀な外国人労働者を数多く抱えており、目的に応じたスキルを持った優秀な人材をご紹介しております。初期費用は一切頂いておらず、完全成功報酬型のサービスなので採用プロセスでの費用負担もありません。
外国人採用についてお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。